言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 司会
「本日の講演会は言論ながさき設立5周年を記念し、パネルトークを開催致します。 TVでお馴染み
 の、お二人をお迎えしています。 TBS報道特集のキャスター・金平さんと、元NHKクローズアップ
 現代のプロデューサー・永田さんです。 質問票を回収し、休憩の後に質疑応答を行います。」


言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 代表
「安倍政権によるメディアへの介入・統制の危険な動きに、メディアの現役やOBで会を結成し、講演
 会を開催してきました。 結成して1回目の講師が金平さんで、いろんな講師の仲介を取って頂いた。
 あれから5年、メディアの状況がどう変わってきたかお話頂きたい。 永田さんには、日本は本当に
 民主主義と表現の自由は実現されているのか。 岸田政権で今後、メディア対応が変わるのか。
 国会での改憲論議の動き、政治がどう動いてくるのか。 最後まで、ご清聴頂きたい。」 
金平茂紀さん (TBS.報道特集 キャスター)
「絶滅危惧種だと、自分の事を思っています。 こんなコトやってるTV人や記者はいない。 師匠は、
 筑紫哲也さんで、13年前に亡くなりました。 TV報道が息苦しくなって、今も変わっていない。
 2017年に安倍政権下で共謀罪ができて、岸井成格さん津田大介さん、鳥越俊太郎さん、田原
 総一郎さんの他、TVを支えている色々な人たちと、議員会館で反対声明を出しました。 『共謀罪
 法案に大反対です』という横断幕は、永田さんが作りました。 こういう事をやる人は大事。


 この間の衆議院選挙で、メディアが酷くなったかわかる。 自民党や立憲民主党の議席の予測を、
 新聞TVみんな間違った。 維新もここまで増えるとは誰も予測できなかった。 メディアの事前予
 測の惨敗。 能力が追いついていない。 有権者を読む事ができなかった。 長崎1区は安倍さん
 の秘書を17年間やった自民党が負けた。 安倍さんも応援に来たのに負けた。 コロナで国民が
 疲弊し、人が弱ってる時は現状維持の心理が働く、日本人は変化を好まないんですよ。


 選挙が終わり、野党共闘をやったから負けたと、TVや新聞で偉そうに解説した人がいる。 何を
 言ってるんだと思う。 共闘ナシだともっと酷くなっていた。 マスメディアは反省をやっていない。
 立憲は潔く辞めたが、マスコミは誰も辞めていない。 間違ったのに責任はとらない。
 選挙開票特番は、みんな間違ったのに祭りにする、TVは深刻。 自民党の総裁選の報道は1ヵ月
 185時間も放送した。 政治とは何か、イコール選挙という考え方はダメだ。 政治は足元にある、
 

 身の回りにある町内会、学校のPTAも政治的動き。 自分たちの権利主張がオープンに語られな
 い時に政治に関わらないといけない。 こういう話を家庭や職場で話すことが、よっぽど政治的です
 よ。 政治とは身近な理不尽を直していくこと。 選挙運動をやる事が政治ではない。 経済とは何
 なのか、人々が金儲けだけが人生の目的だと幸福にはなれない。 心の中まで統制されたくはナイ。
 自由という考え方を失ってはいけない。 岸田政権は表紙が変わった程度で、内閣報道官が総理


 官邸でメディアを仕切っている。 理不尽な内閣記者会のスタイル、メディアは闘う姿勢を持ってい
 ない。 メディアも分断され一枚岩じゃない。 望月衣塑子がうっとおしいから消えろと、メディア内
 部からの圧力もある。 上の世代の生き方は社会正義、理不尽な事に声を上げていた。 今、声が
 上げづらい、ちゃんとやっていかないといけない。 改憲勢力の流れは、この4年間で進む可能性が
 ある。 維新は野党ではない、ゆ党とか言いますが自民党より右ですよ。 楽観視すると大変な事
 になる、危険な状況に行く。 視聴者が求めていると、TV局の人間が勝手に思っている。


 メディアに露出する事をなにより意識している人たち。 知名度とか影響力がある。 TVは受けが
 イイ人を使う、見世物を徴用する特性があり、とっても危険。 かつてのドイツのようになる。
 筑紫さんが好きな言葉で、『私はそれまで会った人の一部である』。 いろんな人と出会って今が自
 分なんだと。 人間はみんなでやり遂げられる事がある。 ミニマル・ミュージックは同じメロディを
 繰り返す音楽で、1時間くらいみんなでやっていくと大団円になる。 社会運動は同じような人だけ
 ではダメで、老若男女一緒に何かやっていく事で、みんなでやる事の楽しさが大事。」

  
永田浩三さん (元NHK プロデューサー/武蔵大学 教授)
「NEWS23とその時代の本に、筑紫さんはいろんな言葉を残した。 私はNHKに32年いました、体質
 はそんなに変わらない。 TBSの金平さんとは会社が違いましたが、同じ仲間だと思っています。 
 キャスターは身体を晒しながら、今日の放送が最後だと臨んでいる。 国谷裕子さんと8年、編成を
 やりました。 メディア横断的な学習会に色々な方が来られていた中、金平さんと出会った。 かつ
 てニクソン政権のウォーターゲート事件は汚職事件をメディア全体で追及した。 権力に対しスクラム


 を組んだのが事の始まり。 番組改編もメディアはスクラムを組んだらどうだと。  NHKの番組改編
 事件。 裁判で争われ最高裁は、報道の自由、言論の自由のため、NHKが勝った。 慰安婦問題は
 韓国問題とは違う。 朝鮮慰安婦が連行されたのは、東アジア全域と日本国内にもあった。 放送
 前日にNHK幹部と安倍さんが密会し、番組改編の指示に私は抗う事もできず、恥ずかしい経験。 
 NHKは死んだに等しい。 クローズアップ現代の後継番組を後輩たちが作った。 その番組に、経
 営委員会を通じて現場を黙らせてきた番組改編事件。 番組作りに関係ない人間がちょっかいを
 

 出してくるのは不文律なのに、今でもなっていなかった。 不埒な政治家がいて、文句を言ってくる
 のは日常茶飯事。 私は盾になったが、現場で跳ね返せるか。 表現とは、ささくれだったモノを含
 んでいる。 気持ちの良いモノだけではない。 報道現場の問題。 何かをニュースや報道で伝える
 のは、世の中に嫌な事も耐えながら伝えていくしかない。 戦争中、俳句の世界でも、治安維持法
 に引っかかると、お先棒を担いだのがメディア。 広島原爆直後のカラー写真、グニャグニャの鉄骨
 の横で私の母はいのちを拾った。 原爆はプレスコード、検閲が厳しく新聞ラジオは7年間遠ざけた。


 屈しなかったのは一般人で、個人の作家や詩人は、いのち懸けで発表した。 慰安婦も自分が名乗
 り出たら、被爆者と同じように応援してくれるとかもしれないと、カミングアウトした。 ソウルに平和
 の少女像ができて10年、東京でレプリカの展示はコッソリ撤去され中止となった。 この時、放送で
 助けてもらったのが金平さん。 表現の場を奪われた物を集めた、表現の不自由展。 たくさんの声
 で再開できた。 9条を守れという俳句が掲載されず、最高裁まで行って勝った。 俳句ひとつでこん
 なになっている日本。 表現の不自由はますます進行している。 芸術は小さな声として存在し、メデ
 ィアはそれを支えるべき。」


言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 事務局長
「報道特集を見ていてわかるが、金平さんは体を張って仕事をしている。 永田さんはNHKのチーフ
 プロデューサーとして、言論の自由を奪われ取り戻す闘いをずっと続けている。 忖度・萎縮・自粛、
 マスコミが本当の事を伝えない中、NHKもニュースは政府に忖度しているが、他の番組では後輩
 たちががんばっている。 批判する時は批判し、よかった時にはTV局に、電話や手紙やメールで
 良い番組だったと応援してほしい。 『筑紫哲哉NEWS23とその時代』ぜひ読んで見てください。」




 NHK問題を考える   報道いま現場から考える   知る権利とメディアの役割
言論ながさき5周年記念パネルトーク
メディアの「今」を問う


日 時 2021年11月28日(日)14:30〜16:20
場 所 メルカつきまちホール
参加費 1000円


主 催 言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会