相澤さん（大阪日日新聞　論説委員・記者）　
『森友事件と安倍官邸、ＮＨＫ～知る権利とメディアの役割～』
「ＮＨＫは良く批判される。　安倍ちゃんねるとか犬ＨＫとか、番組はイッパイあるので全部がおかしくは
　ない。　政治報道はそんなに占めていない、基本は真っ当な報道。　権力に不都合な事を出そうと、
　いう人はＮＨＫにも一杯います。　一部おかしなニュースがある。　権力に擦り寄る報道は本当にマズ
　イ事で、いずれは変わる。　首相が変わるか、奇跡が起きて野党が政権交代するか。　権力と報道機
　関のありよう。　いろんな圧力と懐柔があり、安倍さんと報道局のトップが会食する。　不利な報道をし
　にくいように、うまくやっている。　報道の軋轢は、他の民放でも聞きます。

　１９８７年にＮＨＫに入り、報道の仕事をやってました。　最初は山口に赴任し、先輩からいつ辞める
　んだと言われ、今ならパワハラ。　取材のイロハでサツ回り、警察担当になります。　土日も毎日７時
　～１２時まで警察署の当直に張り付いて、自分で考えろと。　１Ｆでずっと座っていると、トラブルが起
　きやすい時間。　飲み屋での男女間トラブルなど、ガス抜きして帰す。　警察の仕事は大変だなと見
　ていた。　社会的に恵まれない人が多く、相手をするのも警察組織の末端。　世の中こうなっている
　のかと。　報道の職場は良い大学を出たイイ環境の人が多く、自分も恵まれた環境で大学へ行った
　

　と、学生当時にはわからなかった。　新米記者が世の中を勉強し、社会に返さないといけないという
　のが記者の原点。　弱い立場の人の声を伝えるのが、表現の自由。　裁判は弱者が強者を訴える事
　ができる。　世の中に不当判決はあまたあり、勝てないが訴える事はできる。　訴えた声を、ちゃんと
　伝えるのが僕らの仕事。　行政に対し立場の弱い人たちを、負けたら周りの新聞はみんな書かない。.
　負けたとは書かずに、こういう判断でこうなったと書いてニュースにしたら態度が変わり、高裁で逆転
　勝訴となった事もあります。　ＮＨＫが報道してくれたおかげだと言われ、記者冥利につきる。　

　森友事件は知る権利の大切さを象徴した事件。　国有地がいくらで売られているか大問題になる。　
　公文書改ざんで、安倍明恵さんの名前を削って、国民の知る権利を邪魔している。　籠池さんは奈良
　県の県職員で、結婚相手のお父さんが立ち上げたのが森友学園。　理事長を継いでやっていた。　
　ウソつきのイメージがあるが、思い込みや事実誤認はあるが、意図的なウソはついていない。　ぶっ
　ちゃけ言いすぎて、面白い人。　夫婦仲がメチャクチャいいですよ。　２人とも面白くケンカにもなるが
　妻を守るのは立派な態度。　８億のゴミの撤去費用を聞くと、そんなにかからん１億くらいかなと言い　
　

　弁護士があわてて止めた。　取材して見つけたのが値引きの８億円。　トラック何千台もゴミを運び出
　した事にしてくれと財務省の口裏あわせに、森友はできませんと言っている。　財務省側がおかしな
　事をやっている。　これを報道しようとしたが、報道局長がゴネて流させない。　ＮＨＫの関西ローカル
　ではちゃんと放送したが、全国放送をやると影響力が全然違う。　森友に安値で土地を売ったのは財
　務局。　最初から値引きがあり背任です。　結局、夕方のニュース７で流れ、３時間後に東京の報道
　局長から大阪の報道部長に電話あり、何でこんなもの出したんだと怒って、あなたの将来はナイと言

　われていた。　部長は原稿を書いていないが、書いた私は決定的に将来はナイ。　こんな露骨な圧力
　は見た事がない。　人事をかざした脅しに、びっくりしました。　権力に都合が悪いから怒っている。
　政治の圧力がこんなにダイレクトに来たのは驚きでした。　ネット上でこれまでＮＨＫの報道はけしから
　んが、政権に都合が悪いニュースを流してくれたと、視聴者に信頼が伝わって嬉しく感激しました。
　報道局長賞と同時に記者を辞めさせるとなった。　昨年５月１４日に組織に切られました。　組織の都
　合で切られてしまうのは、何人も見てきましたが、自分が切られるとは思わなかった。　内示では定年

　
　間際がいく窓際なので飼い殺し。　東京で決めた事で、どうしようもない不本意な人事に文句言っても
　仕方ないから言わなかった。　記者を続けるには、ＮＨＫを辞めるしかなかった。　長い事、好きな女の
　人に振られても嫌いにはならない。　３１年間ＮＨＫで働き、ＮＨＫ愛は変わらない。　記者として、いろ
　んな経験をしました。　記者の仕事は情報を取って出すだけなのか。　ネタを取ってくるのがイイ記者
　と言われるが、そうではなく逆で、大切な事をどうやって出すか。　イイ記者とはネタを取り、きちんと
　報道できて良い記者となる。　権力側がどれだけリークするか、どれだけ真相を聞けるか、信頼関係

　を作れるか。　取材ではどこか良い所を見つけて好きになり、長くつきあっていく。　読売や産経は政
　権寄りで、毎日や朝日は反権力なのは、ただ商売でそういう読者が多いから。　働いている人は色
　々で、朝日にも右翼はいる。　それぞれの想いで仕事をしている。　読売や産経にも尊敬できる記者
　はいます。　本物の右翼と左翼は仲良くできる。　権力による監視は怖い、３０年前に公安とも仲良く
　なり、メーデー会場で声をかけたら、俺の存在に気づくなと言われた。　労働組合の監視に来ていた。
　権力にとって都合が悪い事を伝える事の結果、マスコミを通して市民が権力を監視する事になる。　

　記者クラブは問題があり、ＮＨＫでメリットも体験しています。　報道が一体となり権力に向かう。　
　望月衣塑子さんは同業からも賛否あるが質問の仕方はともかく、質問する記者を権力側が抑え込む
　のはオカシイ。　記者クラブは談合組織になり、横並びで権力と対峙できないなら、やめた方がイイ。　
　記者クラブ否定ではないけれど、考え方は今も変わっていない。　プロが作るモノはチェックしている
　ので、意図的なウソはめったにないが誤報は誰にでもある。　私もネットのYahoo！ニュースを書い
　ていますが、プロの記事なら信用性があるので、出所を見て信用度がわかる。　他と比べることで、

　フェイクニュースに騙される事は減る。　ＮＨＫにいて、ありがたいと思ったのはＮＨＫの信用力と組
　織力。　報道を変える力は、みんなで声を上げること。　言うのはタダ、とりあえず要求というのが大
　阪の商売。　どんどん意見を言った方がイイ。　ＮＨＫは視聴者の受信料なので聞きますよ。　
　声を上げる時には批判ばかりでなく、ホメながら批判する。　その方が効きます、職員のヤル気に
　伝わります。　批判は何がけしからんのか番組の中身など具体的に。　具体的に言うと担当者に伝
　わり、批判は組織の中で共有化される。　権力に負けない真っ当な職員を応援して、みなさんのお
　力添えをお願いしたい。　権力に対峙できる公共放送であってほしい。」

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