第4回言論ながさき講演会


日 時 2018年2月25日(日)14:30〜16:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室
入場料 一般700円/学生500円/高校生以下無料


主 催 言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会
共 催 長崎マスコミ文化共闘会議
言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 司会
「本日の講演は東京・中日新聞の望月さんです。 警察・検察・裁判所を中心に取材し、ヤミ献金疑惑
 などをスクープされました。 経済部や社会部で防衛省の武器輸出など追っている、お話を伺いたい。」


言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 会長
「森友・加計学園問題の取材班として、官房長官の記者会見で鋭い質問をしています。 権力は腐敗
 し誤魔化し続けている。 残念ながら今のメディアは問題点を浮き彫りにする事を、果たしていない。」


マスコミ文化共闘会議 副議長

「長崎のマスコミ5社の労働組合で結成されている団体です。 取材姿勢をかえりみながら聞きたい。」
望月さん (東京新聞 社会部記者) 『安倍政権と報道 いま、現場から考える』
「記者としての私のテーマは、権力側が隠そうとすることを明るみにすること。  駆け出しの頃は新聞
 社の名前が売れてないから取材に行っても話してもらえないと思っていました。 事件を聞いて、夜
 討ち朝駆けで続けているうちに、話してもらえるようになりました。 理由を聞いたら、その記者がど
 のくらい知りたいか、世の中に伝えたい想いと情熱で話してくれた。 記者会見は都合のいい事が多
 いので、不都合な真実を隠したい。 キーマンを見つけて、何度も聞く事。 ウソをつかれてアタリ前
 です、だんだんウソと真実の見分けがつくようになります。


 育休のあと、第二次安倍政権で、武器輸出に改憲の動き。 海外には武器を売らない輸出三原則を
 大きく変えた直後、パリで世界最大の武器輸出見本市で海外展示に参加となりました。
 三菱傘下に中小700社の企業があり、取材したら望月が来たら答えるなと、お達しがあったのかと
 ビックリしました。 日本の機密を垂れ流していいのかと、武器輸出にとまどっている企業もありました。
 官邸やNSCの指示で輸出を進めようとして、輸出解禁でオーストラリアと共同開発などがあります。
 中国は新幹線と原発と潜水艦の技術が欲しい。 アメリカはブラックボックス技術がありますが、日本
 はない。 後から良く似た型が、中国から出てくるんじゃないかと、危機感を持った方が多かった。


 子どもを持った事で、安倍政権が目指す経済や憲法のあり方に危機を持ちました。 日本の防衛産業
 は依存度5%で多くは民需でやっていますが、政権の流れが軍産複合企業に舵をきっていけば、防衛
 経済で潤うと雇用政策に繋がるので、危機感を持ちました。 森友学園問題は、東京では初めの3日
 は静かだった。 公正中立で政権批判のコメントは半々でとあり、民放各社は報道の自由の弾圧だ!
 とせず、お達しを忠実に守ろうとしました。 政治批判の企画をするとボツになり、やる気がある記者も
 控えるようになりましたが、籠池理事長のキャラクターや幼稚園の教育勅語をTVで流しはじめました。


 視聴率がいいので、スポンサーを持っていかれると忖度していた各放送局も続々と報道。 一気に、
 籠池フィーバー。 籠池さんはTV的にオモシロイと、みんなイキイキと取材した。 逃亡の恐れがない
 のに拘留しているのは、政権批判が続出すると政府側にあるのかなと。 東京新聞でも追うべきです
 と、取材チームの一員に入りました。 当時、共謀罪が強行採決され、閉会を急いだ理由は加計学園
 との関係を恐れたと言われる。 政府の声が強くなると、官邸から記事の指示がくるかもしれない。 
 マスメディアは圧力に対し、国民の目線にどう立つべきかと思わされました。 


 行政も不正に歪められてるんじゃないかと思い、安倍さんに直接と思った。 ぶら下がり会見では、私
 なんか当てられません。 菅官房長官なら手が下がるまで当ててくれるとあり、イケるなと。 各社の
 政治部の番記者たちは昼も夜も会っているので、持ちつ持たれつ。 本当は聞きたい質問でも、みん
 な聞きづらくなってる。 他社の社会部は政治部の壁があり、行かせてもらえませんが、官邸会見の
 やりとりが報道されて、官邸広報室から書面で注意されました。 あいつは北のスパイと煽られる人々。
 安倍総理は周りの側近や記者に、人当たりがいいので守られています。 メディアと権力のあり方。


 メディアのトップが安倍さんとの会食。 現場で一生懸命取材している記者も委縮するので、トップは控
 えるべき。 報道の自由度ランキングは日本72位。 委縮してはいられない。 忖度報道とか言われま
 すが、しっかり食い込んで取材した報道もあり、新事実が続々と出てきています。 会社がどうかでなく、
 ジャーナリストとしての信念を強く持つ。 自分の五感を信じて人々のために、権力と対峙する位置にい
 るか。 疑問や疑念が自分の内側で解消できたか、人々にとってベストなのか。 自分だけでなく他人
 が幸せになれるか。 そもそもメディアの役割とは、権力の監視とチェックです。


 昨年の衆院選は小池さんは元々タカ派で希望が失望になり、野党連合に賭けたいが結果は自民の圧勝。
 1万票差で勝った所が60以上、おそらく野党連合なら政権交代できた。 政治家の中から米軍と一体化
 しています。 中国や北の緊張がある限り、アメリカの武器を買わなきゃいけない。 武器購入実績額は、
 年々膨らんでいます。 徳するのは誰か?ロッキードの株は85%も上がり、戦争するのが一番儲かる武
 器ビジネス。 専守防衛に反しないと1発1億6千万円の巡航ミサイル導入も決定し、敵基地攻撃能力の
 保有そのものになっている。 ロッキードもびっくり、日本がここまで突き進むと思わなかったと。


 核なき世界は後退し、戦争できる国を目指すのか。 9条に自衛隊を明記は、一見もっともな主張ですが、
 安保法制と武器輸出とセットで、アメリカとともに戦える国に変質していく。 軍国主義の台頭、参戦への
 反省で、できた憲法は支配者の暴走を防ぐものですが、憲法のとらえ方が違う安倍政権。 幣原首相が
 GHQのマッカーサーに提唱した言葉。 『武装宣言が狂気の沙汰だという結論は、考え抜いた結果出てい
 る。 世界は軍拡競争の蟻地獄から抜け出す事はできまい、歴史的使命を日本が果たすのだ。』と言った、
 日本国憲法9条に込められた魂。 もう一度この想いと72年間戦争しない日本を後世に繋いでいきたい。」




言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 事務局長
「メディアに対する攻撃が続いている。 こうした行動は報道の自由や言論の自由を封殺する行為で看過で
 きません。 メディアが委縮し忖度すると、市民に真実が伝わらなくなる。 メディアへの攻撃は自分たちへ
 の攻撃と思ってください。 がんばっているジャーナリストを激励してもらいたい。 モノを言える報道の自由
 を守っていきたい。」
 



第3回言論の自由を考える講演会を読む                 第5回言論ながさき講演会を読む