国鉄労働組合 長崎地区本部 元執行委員長 『賃金とはなにか〜賃金はどう決まるのか』
「賃金に対する基本的なスタンス、資本家の考える賃金論と、労働者の考える賃金論の話は
前回にも
話をしてきた。 資本家と労働者の関係、労働者は自分のため以上に働き、資本家に搾取されている。
マルクスは資本論でココを見抜いた。 日本の社会はどうなっているのか。 日本の資本家階級とは、
254万人で約4.4%、多いと思うが従業員5人以上は全部入れていて、家族が従業員の場合もある
のでホントはもっと少ない。 資本金100億円以上の企業は522社しかない。 中産階級は20%と、
より経営者に近い労働者で年収1千万以上の高い賃金を得ている。 労働者階級が62.5%とされて
いる。 戦前は財閥中心が戦後解体され、銀行も企業もバラバラになる。 資本家の象徴が銀行で、
メガバンクが日本を支配している。 キリンビールは三菱とか、アサヒビールは住友とか大企業はどこ
かの系列に入り、旧財閥の系列で集約し支配されているのが今の資本主義・日本社会。
日本の資本主義の正体。 賃金が増えないカラクリは資本主義で生きる限り、搾取されるシステムに
ある。 資本家が会社を経営できるのは、労働者に支払った賃金以上に、労働者が価値をつくるから。
そんな当たり前に気が付いていない。 その本質を知らないと、一生懸命仕事して努力しても無駄に
なる。 日本は欧米と違い独自の資本主義。 アメリカのような強欲資本主義でないのでわかりにくい。
日本には富裕層への抗議デモもない。 5月1日メーデーは万国の労働者が団結せよというのが本質。
歴史上階級が発生する前は共同体で物を分けた時代から、奴隷と主の時代になった。 次が封建制
社会になり、次に産業革命で多くの労働者が誕生した。 歴史の流れからいくと資本主義も終焉し、
後に生まれるのは社会主義にならざるをえない。 一度ロシアでソビエトが出来たが、世界のグロー
バル化の前にやられ無くなった。 最近はアメリカやイギリスなどヨーロッパで、格差是正を訴える若
者が社会主義に目覚めている。 ソ連崩壊で終わったと言うが、アメリカでは15人も当選し、やはり
労働者の利益と会社の利益は違うんだと、やっぱり労働者は社会主義でないといけないと言われる。
労働者が政治や経済の主導権を取り戻せる現実的な手段が、社会主義だとアメリカでなってきてい
る。 日本のTVでは報道されないが、ミレニアル世代の53%は今の米経済より、社会主義国に住
みたいが上回って、そんな動きが始まっている。 ヨーロッパでは金持ちに課税しろとデモになって
いる。 儲からなければ商売にならないから、日本では真実を報道しなくなってきており、資本家は
金だけの拝金主義、お金がイチバンの考え方。 資本家にとってTVは都合がいい内容となっている。
資本家・経済界のまとまりが経団連で、その政治家の代表者が自民党。 資本家の支配を確立させ、
日本の資本主義社会を話あって維持してきた。 労働者の代表・社会党が強かった当時、総評に集
まる労働組合はストライキで大幅賃上げを勝ち取った。 それに対し、社長たちが集まる日経連は労
働組合の幹部を狙い撃ちにした。 総評・県評が解散し平和センターとなり、
連合が結成されて労働
組合の力がもうなくなったので、日経連も必要なくなった。 今は経団連のみとなっている。
総評があった時代は年間5千件あったストが、600件に減り、今や38件しかない。 春闘もドンドン
下がり、安倍総理の官製春闘で労働組合は不要だとなると、労働者の生活がさらに脅かされる。
日本の資本主義は限界で、次の世界に移っていかないといけない。 労働者の権利より会社の利益
ばかりを考える企業側の労働組合や、幹部だけいい目に合う組合ではダメです。
パイの原理と言って、会社が儲かったら全体のパイが増えるので、みなさんの賃金が上がりますよ
と、労働組合を取り込む事もあった。 非正規の低賃金をつくった事で、結婚できない労働者が増え
て、働く世代が減っていく。 外国人労働者を入れる法律と言うと本質が見えない。 これまで安倍
政権は様々な法案を通してきたが、法案の頭に『資本家が儲ける為の』を付けると本質が見えやす
い。 労働組合の復活。 地区労のようなストを構えて闘う労働組合が全国に広がっていかないと。
今、そういう時期にきている。 職場で労働組合とは何か、学習会を行い認識してもらいたい。」
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