国鉄労働組合長崎地区本部 元執行委員長 『賃金とはなにか』
「資本家・会社側が考える賃金論と、働く者の立場からの賃金論、この二つの言葉を認識してもらい
たい。 資本家の賃金論はそれぞれの職場で経験しているので、働く者の賃金論を頭に入れて、
労働者の考え方と経営者の考え方がぶつかる事を学習する。 働いてがんばっていても、会社は
なかなか賃金を上げない。 中小だから上がらないとか、仕事が裁けないとか、営業成績が悪いか
らとか、自己責任で考えてしまう。 この考え方は資本家の賃金論が定着して、会社側の考える賃
金論が広がり、一般常識として考えがち。
財務省の資料で日本企業の内部留保は406兆円という莫大な金額を、賃金として払わずため込ん
でいる。 2005年から、この11年で200兆円も増えている。 国家予算は100兆円ない、4倍以
上を企業が貯め込んでいる状況。 労働者の賃金は上げず、株主の配当がどんどん増えている。
わずかな賃上げがあっても、実質賃金は下がり続けている。 朝早くから夜まで残業し働いた結果、
資本家に金が貯まり、労働者は下がり非正規労働者がこの30年で増えている。 中小や非正規の
格差に、男女の賃金格差がある。 女性が社会進出し、少しは上がったが男性に対し73%程度しか
ないので女性の賃金を上げる闘いをしないと、いつまでも上がらない。
潜在失業者の存在、まだたくさんいる。 資本主義社会はいつの時代でも、どこの国にも失業者がい
る。 資本主義は失業者がいないと賃金が上がってしまうので、重しとして労働者の中に失業者を投
げ込む。 代わりはいくらでもいる辞めていいんだぞと失業者を増大させ、さらに賃金を下げさせる。
安倍政権は同一労働、同一賃金と言って、非正規の改善を匂わせているが、正社員30万円で非正
規15万円で同じ仕事しているから、15万上げようとはならない。 30万を下げて同一労働、同一
賃金なんです。 非正規が増えると正規を脅かす、非正規の待遇改善をしないと全体が下がっていく。
1日8時間労働させて、このうち4時間は自分の賃金分を超えて資本家の為に働いている。 剰余
労働時間、剰余価値と言う。 会社は儲ける為に早く帰れとは言わない。 仕事を仕上げるまで帰
れないと自主的残業。 1日10時間働かせて、資本家は実は6時間分儲かっている。 法律上は
労使対等、資本家と労働者は平等となっていますが、現実は資本家側が有利になっています。
労働者は働かないと生きていけないので、安くても労働条件が悪くても就職先を急いで探すとなり
労働力を売り急ぐが、資本家は労働力を買わない自由がある。 弱い立場の労働者。
労働組合の組織率は1949年は55.8%であったが、昨年は17%しかない。 ところが全体は下
がっているが非正規やパートは1990年1.5%が、2016年7.5%まで上がっている。
ストライキは1972年2480件で、’74年には2万8千円の賃上げを勝ち取った時期がある。 スト
の件数と賃上げは重なっていて、昨年のストは31件しかない。 首相が経団連に賃上げ要求した
が、本当は労働組合が闘い、労使交渉でしか得られない。 労働組合がストもできない、しない、
闘いが取れていない。 ストを行う形をとらないと。 昔は国労(JR)もストで闘った、再びそういう
時代が来るように、組合の中で議論して地区労に結集し、地域春闘を闘ってもらいたい。」
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