第6期労働講座 第2回
                

日 時 2016年12月15日(木)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室


主 催 長崎地区労 
国労長崎地区本部 元執行委員長 『賃金とはなにか』
「日本の労働者の賃金、権利の闘いをどうしていくか、貧富と格差を是正し当たり前に賃金を払わせる
 運動をつくっていかないといけない。 民間と公務員、大企業と中小で賃金の差があっても、しょうが
 ない考えがあるが、それが正しいのかどうか。 人として生きていく為にはキチンとした生活費がない
 と生きていけない。 経営者が考える賃金と労働者が考える賃金。 経営者側に立った賃金論しか教
 えられていないが、どうやって賃金は決まるか考えていきたい。 


 国労、今のJR出身なので賃金がどうなってるか、立派な賃金のような気がするがそうでもない。
 20代〜30代で、19万〜25万くらいしか貰っていない。 さらに年金や健康保険など多く引かれる。
 これが高いか安いかは、それぞれのモノサシがあるがJRは今、大卒しか採用してない。 女性たちは
 契約社員で、かっこいい制服を着ていい大学を出ているが13万くらいで若い人たちは極めて低い。 
 55歳から賃金が下がり、60歳で退職させ再雇用で15万となり、特急かもめを運転している組合員。 
 JR大阪や東京で生活している人はとてもじゃない。 外出しない、旅行も行かない、つきあう交際費
 もでない状態で毎月の生活は、飯を食うので精一杯。 低賃金で働いている労働者の現実。
 
 
 まず生きて健康で明日も働き続けられ、食べて寝て遊んだりできないと人間は生きていけない。
 賃金の値段を決めるには、1人ひとりの生活実態を確認する。 自治労青年部では、みんなに配りそ
 ういう調査をしている。 生きていく為にどれだけ必要かはじき出して、これだけの賃金を要求すると
 決める。 私たち労働者は資本家に労働する能力を売っている。 資本家と労働者は売る人と買う人
 の関係。 給料や給与とは与えるもの、賃金とは労働の対価。 労働を売ってその代金として賃金を
 得ている。 給与とはもらうものではない、売ったり買ったりするものだから、間違った言葉。


 私たち労働者はまず、賃金と変えていく事から始まる。 売るのは労働ではない、労働する能力を
 売っている。 計算する能力、いろんな物を作る能力など、労働者が資本家に売っている。 
 資本家は労働者を雇い、8時間働かせる。 労働者は4時間で自分の価値を生み出し、残り4時間
 が剰余価値を生み出し、その儲けが資本家の懐に入り、これを搾取という。 社長はゴルフで何もし
 なくても働かせるだけで儲かる仕組みになっているが、労働者は知らない。 資本家はさらに税金
 逃れ、タックスヘイブンを行っている会社もある。 100の金持ち企業と国を並べたら、国より企業
 が金持ちになっている。 世界の大富豪は、肥え太る仕組みを理論的にも経験的にも知っている。
 

 今の社会の問題で、非正規が多いと言われるが、根本的なところは資本家が多くの利益を得る為に、
 賃下げや首切りで不安定雇用にして労働者全体のコストを下げている仕組み。 人減らしと合理化で
 機械が人に変わり生産して、労働者はいらなくなり失業者が増える。 1968年は二桁の失業者が、
 機械化と近代化が進み’75年には三桁になり’95年には200万代に突入し、失業率も3〜5%の状
 態。 非正規40%の実態も失業者の問題とあう。 正規のピークは’94年でそこからずっと非正規が
 増えてきている。 パートやアルバイトに契約社員など、低賃金労働者を日本中に幅広く作る政策。


 来年の春闘は年明けすぐ、どう闘うのか。 連合の春闘方針は2%となっているが、まだ賃上げできる。
 企業が生み出した剰余価値に対し、株主にはどんどん払うが労働者の取り分は低い。 時の政権が行
 う官制春闘はおかしい。 労働組合が職場で討論して決める事を政府がやるのを許しているのは、闘う
 労働組合になっていない今の連合が弱くなっているから。 労使の力の差が広がってきている。
 政府統計を見ても、実質賃金は1998年からずっと対前年比がマイナス。 物価指数も上がっていない
 デフレ状態。 2014年に第2次安倍政権はアベノミクスで労働者の賃金は上がるどころか下がっている。
 民主党政権の時はプラスになったが報道されていない。 労働者にとってアベノミクスは名目賃金が下が
 る中、実質賃金も下がり、消費物価指数は上がっている。


 労働運動としての結果と賃金の問題。 1965年からストの件数も増えて1974年には5147件で、2万
 8千円の大幅賃上げを勝ち取っている。 ストライキを構えて闘った妥結額。 闘わなければ賃金は上が
 らない。 資本家が剰余金から儲けをいっぱい取れば、労働者の賃金は下がる。 春闘で要求し交渉し、
 うまくいかないならストライキしないと、資本家は労働者の賃金を上げたり、仕事を楽にしたり、休みを増
 やしたりは絶対にしません! イギリスでは18時間労働をやり、子どもさえ10時間労働をしていた。 
 ずっと闘うことで労働時間の短縮と児童の労働を禁止し、勝ち取ってきた。 職場に労働組合を作って闘
 わないと、すべての労働条件はよくならない。 


 かつて総評がストライキを指導していた頃は労働者の賃金は上がっていたが、連合の結成にむけて労
 使協調でストが減った。 1989年に連合ができた後のストライキ件数を見ると、全国で現在30件。 
 日本に5千万人以上の労働者がいて、ほとんど何もしない。 満足な状態で仕事をしているのか、女性
 差別にパワハラなど、いろいろ抱えているのに。 労働者が労働組合をつくらず、組合があっても入らな
 かったりして、労組が弱くなり企業と闘う姿がなくなって、今の状態になっている。 労働運動とはなにか。
 労働運動はイギリスの居酒屋から始まった。 仕事の不満を言ったりする中で、いっちょまとめてやるか
 と労働者が団結し労働組合ができた。 連合にも闘わせるよう、前向きの労働運動をつくる必要がある。」




第6期労働講座・第1回を読む                        第6期労働講座・第3回を読む