第8期労働講座 第4回
                

日 時 2019年2月22日(金)18:00〜19:30 
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室 


主 催 長崎地区労
足立さん (労働大学講師) 『資本主義の仕組みと労働組合の役割』
「この日本社会は資本主義、資本家の儲けは労働者から搾取したものです。 資本主義は食うか食わ
 れるかの競争社会で、1円でも多く1台でも多く販売し、金儲けの為に搾取を強化する。 労働時間
 の延長や、8時間内でも今まで以上に働かせる。 賃金を切り下げれば 儲けは増える。 非正規労
 働者の導入と、年功序列賃金から能力主義で搾取を強化し、株主へ利益と配当を増やした20年。


 日産のゴーン社長が捕まり、フランスでも大問題。 何十億円も報酬を得ているが、ひとりで稼げる
 とは思えない。 圧倒的な労働者が毎日働いた富が何十億円にもなっている。 カルロス・ゴーンは、
 あんなに金を持って何をしたかったのか。 いっぱい稼ぐ事だけが目的になる。 労働者の賃金とは
 再生産するのに必要な価値。 朝起きて仕事に行く体と、気持ちがなければ再生産されない。
 仕事が生きがいの人もいるが自分を取り戻す時間、趣味や文化的生活が衣食住の他にも必要です。


 人間には寿命があり、いつか死ぬ。 次の世代を育成する必要があり、賃金に含まれないといけな
 い。 賃金要求の根拠は、生活できる賃金をよこせであり、自分の賃金を点検する必要がある。
 最近、若い人は金がイラナイという人が多い。 長時間労働で金を使う時間もないと、賃金要求も無
 くなるので心配。 非正規労働者の問題は結婚できない事。 非正規は結婚比率が低く、賃金はガ
 マンすれば済むが、少子化が進んでいく。 出生率が下がり、少子化対策は20年経たないとできな
 い。 2017年には非正規が1984年の3倍に増えた。 就労数も増えたが非正規が増えている。


 外国人労働者となるのは手っ取り早いから。 あの頃、手を抜いた結果のツケが20年後に現れて
 いる。 日本は教育費を労働者に負担させるので、低収入の親の子どもは教育に十分に回らず貧困
 の連鎖が問題になる。 ヨーロッパの標準は授業料無料か給付型で、高等教育は社会が負担する。 
 日本では子どもに教育を受けさせる権利が、親の職業で格差がついている。 新技術の開発により
 自動運転など、労働者全体で大量の失業となる。 医療もAIに診断させ保育の入所もAIとなり、5
 人分が1人でできるというが、残された人も高度で厳しく、コンピュータに使われる労働者となる。  


 AIが入ったから楽になるモノでもないと議論すべき。 安倍政権になり、景気拡大が続いていると
 言えるのはGDPの名目が2014年少し伸びているが、マイナスになっていないのが実態。 ずっと
 横ばいです。 全体として賃金は増えていない。 労働者に回らず企業の懐に内部留保金がたまっ
 ている。 大企業の役員報酬は15%ほど上がっている。 ゴーン社長が表に出ている以上に貰っ
 ている事があきらかになり、アメリカ並みに日本企業は役員に上乗せしている。


 毎月の勤労統計は去年発表され、急に上がり変だなとなった。 賃金がちょっと上がっても、税金や
 社会保障費が増えているので可処分所得は上がらない。 ちょっとくらい増えても将来が怖くて、み
 んなが消費に回さない。 労働力人口が増えているが、15歳〜65歳の生産人口は減っており、矛
 盾している。 国勢調査は国民に聞いて、労働力調査は使用者に聞くので、Wワークが原因じゃな
 いのか。 A社とB社で働いていると2となるが、働いている人は1人。 非正規は副業で昼も夜も、
 働いている人もいる。 働き方改革で副業の解禁を広げようとしている。 


 資本家は機械化で労働者をほっぽり出し、Wワークで労働者がつくり出した剰余価値を2回しゃぶっ
 て、あわせて外国人労働者からもしゃぶろうとしている。 労働者の代表が36協定で、超過勤務や
 変形労働時間の締結をするが、労働者代表を社長が勝手に指名している。 超過勤務が必要なの
 か、適正な人員配置がされているか交渉できるのは労働組合。 労働者は就業規則に縛られるが、
 労組が交渉し、労働協約を結べば、1日8時間も7時間45分と、労働基準法以上の労働条件を勝
 ち取れるので、多くの職場で労働組合を結成するしかない。 


 連合が結成され、この20年で賃金が下げられ非正規が増えた。 連合春闘の課題は、多くの産別
 の組合で非正規の昇給がないと、何年たっても横並び。 その職場で働く人の賃金は本当にこれで
 いいのか、賃金プロット図を作り上げる要求をしていこう。 資本側は70歳過ぎても働かせようとし
 ている。 資本家は労働者から搾取する事でしか、生きられない。 労働者が少なくなると、外国人
 を入れるか、ずっと働かせるしかない。 理想論と言われても、自分の身は自分で守るしかない。


 職場の働き度が知らず知らずのうちに、ずいぶん高められていませんか。 若い人は今の働き方で
 70歳まで働けますか。 労働力の安売りをやめて、健康で働き続けられるようにしたい。 定時に
 帰る取り組みや、不払い残業をなくし、年休の完全消化など行動しよう。 職場で討議する機会をつ
 くって話合い、自分たちの働き方をセーブして働けるように、労働組合をつくり考えてほしい。 お互
 いの職場実態を出し合い、話あう事で要求が出てくる。 要求書をつくり要求書の提出に職場交渉
 の実施。 職場での団結が必要です。」




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