平地さん(佐賀大学 経済学部教授) 『資本主義とは何だ』
「資本主義の始まりは16世紀、今から約500年前からヨーロッパで始まった。 コロンブスが新大陸
発見の時代、銀をヨーロッパに運び、当時のお金の材料であり銀の流入で商品価格が値上がりして
行った。 資本主義は物の売り買いや生産で儲ける状況が前提としてある。 形を変えながら発展
するが基本的には同じ。 賃金で生活する人の登場で、労働者がいないと資本主義は成り立たない。
原動力としての労働者。 働く者の賃金と資本家との利潤の関係。 現実に資本主義は様々な矛盾
を抱えている。 歴史的な社会制度は、始まりもあれば終わりもある。
経済学と言ってもたくさんある、1776年にイギリスのアダム・スミスは国富論で経済学の父と呼ばれ
た。 共感、シンパシーという言葉は他人との共感が人間にはある。 人が生産している商品は、どう
使うだろうかと他人の為に作っている。 昔は、自分が作った米や野菜や釣った魚は自分で消費した。
市場の中で売り買いされる商品の研究をしないといけないと、市場との関係・研究から経済学は始ま
った。 1867年にマルクスが資本論の初版を出版した。 読むと最初はとても難しいが、わかると面
白くなります。 日本経済は人への投資をするべきで、教育投資など重視すべきである。
2008年の金融危機はアメリカの不況が世界中に広がり、大学生の就職難で大問題になった。
スペインでは47%、ギリシャでは42%の若者が失業した。 日本では’95年頃から就職が難しくな
り就職氷河期になると、佐賀大学で2割が就職できなかった。 この20年、不安定雇用が日本では
続き、若者は非正規が半々で正社員モドキの名ばかり正社員化が進んだ。 これは仕方がない事で
はなくて、資本主義として利益を得てきた。 労働分配率が低下し、賃金が減り企業の取り分が増え
た。 企業の内部留保が増え、余剰資金は株や証券に回した結果、2008年破綻したのが実態。
日本では労働分配率が低下したが、ドイツ・フランスではあまり下がらなかった。 賃金の決め方の
制度が違い、日本は企業別だが産業別なので未組織労働者にも適用されたから。 私たちは労働
する能力という商品を売って賃金を得ている。 企業などに雇用され、他の商品を作り売って利益を
得る関係。 私たちが作り出した富の一部が利益として、資本家の富の源泉になっている。 労働者
が作りだした物で労働者が翻弄される、資本主義の関係。 企業とは利益を最大化する為存在する。
労働者を抑え込み賃上げの気力を抑える。 1人ひとりの雇用関係は弱いので、職場に労働組合を
作り経営者・資本家と対等な関係で交渉する。 組合がない労使関係ではブラック企業になりやすい。
かつて労働者は集団で賃金交渉できなかった。 2〜3人集まって話合うとイギリスでは共謀罪で逮
捕されたので、歴史的に労働組合の体制が創られた。 フランスの労働組合は10%の組織率だが、
全ての労働者に適用されるので、労働組合の影響があり10%は活動家の数と言われる。 フランス
のストライキは労働組合員以外も参加している。 賃上げの為、日本経団連は総額人件費の抑制や、
能力主義に成果主義や、正社員と非正規の組み合わせを考えて以来20年。 労働分配率はずっと
低下してきた。 非正規の賃金は低く、大半は女性。 もともと女性は低く抑えられ、妻は家計の補
助の賃金となっていて、日本では抑え込まれてきた。 制度を含めた取り組みが必要だ。
私たち労働者、労働組合は連帯する基本思想がないと資本家に賃金が抑え込まれる。 次の社会
はどいういう社会だろう。 歴史は、支配者が搾取した古代ローマ帝国時代には奴隷社会があり、封
建社会となり、今日の資本主義へと発展してきた。 しかし、平等な関係ではあるが労働者から搾取
している。 今の社会のあり方をオカシイとする考えも出てくる。 資本主義の基本矛盾、エンゲルス
は生産が社会的に行われているのに、私的所有が矛盾だと言う。 労働は社会的に行われているの
に、商品の所有は個人となっているので、特定の資本家や経営者だけが儲かる。
私的所有の為に恐慌が起きるので、次の社会は所有は社会的にする必要が展望となる。 資本主義
はオカシイという人々はたくさんいる。 社会主義政権になっている国もあり、社会主義インター加盟
団体は多い。 多くの国々に社会主義への考え方へ持っていく団体がある。 EU・ヨーロッパ連合の
議会の政党別では、ドイツ社会民主党、フランスにイギリスの労働党は、大きな勢力持っている。
ヨーロッパの政治状況で社会主義者はスイスでも多く、成熟した社会を感じます。 世界では、もはや
資本主義でなく、社会民主主義を模索していく事が、ひとつの課題になってきている。」
第6期労働講座・第4回を読む 第6期労働講座・第6回を読む