中川弁護士 『労組法の基礎とその活用法』
「明治時代に労働組合ができて戦前には部分的にはあったが、今のような法律制度はなかった。
労働者の団結を禁止しなかったが、戦争が激しくなる前に、団結や争議行為を取り締まり、1940
年に産業報告会ができて労働者を戦時体制に動員し、労働組合は一度消滅しました。
特定秘密保護法や共謀罪に労働組合が反対するのは、過去の苦い経験や歴史で当然。 労働者
はこのような問題に闘っていかないといけない。 法律をどんなに、ないがしろにしても人権や憲法
を変える事はできない。 戦前には規定がなかったから、労働者をだまして労働組合を消滅させた。
不当労働行為とは、会社が絶対にしてはいけない事。 組合員に不利益な取り扱いや、団体交渉
拒否や組合介入もしちゃいけない。 労働者を保護するのは労使対等にするため。 労組法は各職
場に労組がある前提になっている。 日本はひとつの職場に複数組合があることがあり、不当労働
行為にあたるのが組合差別。 一方の組合の弱体化は許されない、中立保持義務が使用者にある。
法律で決まっている権利を行使しなければ労働者は不利になる。 労働者は団結し、闘う事を想定
しているが、一番問題なのは労組がない会社が多いことで、労働組合の組織率は17%しかない。
日本の時間外労働の現状、全体が減っている理由はパートが増えたから。 一般労働者はずっと
横ばいで、30代男性は週60時間以上が多く、以前より増えている。 法定労働時間は原則1週間
で40時間。 残業をさせるには、労基署に36協定を出せばできる。 36協定は労働組合がない会
社だと、労働者側の代表と結ぶが、ちゃんと機能していない。 選挙で選ばないといけないが会社が
選んだり、管理者のトップだったりが多い。 36協定がない事業所が44%、知らないが35%もある。
過労死かどうか労災の判定基準は、80時間が過労死ライン。 越えている企業もあり、職場に労働
組合を自分たちで作り、労働組合と会社で締結して減らしていかないといけない。 職種別で研究や
自動車運転などは36協定の時間外労働上限がない。 協定を結んだら残業時間がいくらでもできる。
国会で残業時間の規制をどうするか話がでています。 上限を設けようと政府は繁忙期に月100時間、
2ヶ月平均80時間を入れようとした。 しかし、過労死ライン超えで反発があり、決めれませんでした。
残業データなどは会社が認めたもので、背後に認めていない残業があり、本当に働き始めから最後
までが労働時間の管理を明確にしないと、職場には隠れ残業やサービス残業がある。
安倍政権は長時間労働の是正に取り組みながら、働かせ放題の残業代ゼロ法案と矛盾している。
長時間規制法案を出しているが、本当の狙いは営業職のみなし労働時間や裁量制を拡大しようと
恐ろしい法案。 管理者や監督者でも深夜労働させたら割増賃金だが、外してしまおうとしている。
日本労働弁護団も反対している。 長時間労働を規制する法律は、もっと過労死させないような時間
の設定を。 日本にはインターバルなど有効な規制がない、ヨーロッパは進んでいて仕事から仕事の
間の時間設定がある。 自民党が言っている残業規制はいろいろと問題があり、過労死時間で決め
られてしまうんじゃないかと。 1ヶ月単位の変形労働時間、残業の裁判をしたら変形労働時間なの
で問題ないと言う会社も多い。 ちゃんと理解している裁判官も少なく、判例も少ない。 労働者がチ
ェックしておかしいと、組合として問題提起して、闘っていけば変わる可能性があると思います。」
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