小笠原さん(中央労働大学講師) 「当面する情勢と労働組合の課題」
「世界の流れはヨーロッパではEUからイギリスから離脱し、昨年アメリカではトランプ大統領が、誰も
が予想しない出来事が起きた。 背景には賃金の階層、上中下で言えば中の下の乱が根底にある。
日本では年収400万円以下が中の下となる。 政府の経済政策アベノミクスで4年が過ぎ、日本の
資本主義も終焉に近づいている状況。 安倍政権の成長率は平均0.5%で、その昔の民主党では
3年間で2.0%だった。 これだけ良くなったと訴えるがマヤカシの経済政策が進められている。
労働人口が減り、人手不足で有効求人倍率を引きあげている。 就業の意思はあるがやめた方、広
い意味での実際の失業者は約570万人いると言われる。 実質賃金は5年連続で下がっているが、
昨年少し上がったのは、物価の下落で上がったように見えているのが正直なところ。 消費は増え
ていない。 倒産が少なくなったと言われているが、2000年代と比べ廃業や休業が6割も増えてい
て、倒産する前に廃業している中小の実態。 貧困大国の現状。
大企業とは0.2%の5600社で、300兆円を超える内部留保金を持っている。 膨大な富が貯まっ
ているが、設備投資や働いている人に還元されていない。 より儲かる市場が日本にはないので、
設備投資せずアジアなど海外に進出している。 国民の生活や文化はもっと良くなるはずだが、不条
理が日本の資本主義下で行われている。 財界は残業代ゼロ法案の早期成立を目論んでいる。
働き方改革で時間外は100時間未満と法律で定めようとしている。 連合を始め、政・労・使が一体
となって過労死ラインまで認める法律を作ろうとしているので、廃案の取り組みが必要になっている。
日本の労働者の就業時間は年間2300時間、EUでは年間1600時間なので、みなさんは2ヶ月
多く働いているんですよ!連合は1800時間にしたいと言うが、こんな事がまかり通る日本。
6人にひとりは週60時間以上働き、400万人が過労死ラインで働いているのを変えていかないと。
年休(有給休暇)も年間20日あるが日本の労働者の取得平均は9日。 年休をとらないで自分か
ら賃金カットしている状況。 36協定がない事業所が47%で、残業の協定すら結んでいない。
莫大な富がありながら、儲かる市場がないのが現代資本主義の行き詰まり。 支配する側にとって
危機となる。 安倍政権は右翼的思想で着々と戦前回帰に向けて進んでいる。 各省庁の権力を集
中し、政府の都合が悪い事を秘密にする特定秘密保護法を2013年に成立させた。 そして武器輸
出三原則を見直し、2014年には集団的自衛権の行使容認して、2015年に安保法を強行採決した。
2017年共謀罪という戦争ができる流れを進めて、余ってる金を武器輸出で儲けようと行われてきた。
軍事力強化に繋がる考えで、名目は国民を守る為と言い9条をいよいよ変えようと、改憲してくる。
自民党は企業発展の儲けの為に規制緩和し、儲けの為なら武器や原発輸出までなんでもやるのが
新自由主義の経済。 支持率が下がっても30%はあると言われ、資本家や大企業中心に支えてい
る。 組合内でも若者はよく解からず自民党を支持しているが、労働者側の政党を支持するべき。
自民党の一強多弱に野党は共闘し、政策を一致させ労働者の不平不満に対して経済政策を。 労働
者の賃金を上げて非正規を正規にかえて、医療・介護・年金・教育を保障させると物を買い経済が発
展する。 大企業の法人税を増税し、企業からしっかり取り富裕層からもしっかり税金を取る政策を。
輸出企業は消費税還付金が10兆円で、実際に消費税を払っているのは中小企業。 こういうのも
是正していくと、経済は回る。 国内の内需の経済を作っていく方向性を。 対抗するには労働者の
闘い、労働運動として自分の組合内で政治と労働の学習会をしっかりやるしかない。 非正規や中
小の未組織労働者にも社会的に広げて、社会的に対抗していかないといけない。 労組の組織率
は17%で、『作ろう!職場に労働組合を』という今の時代にピッタリのスローガン、組織化が問わ
れている。 残業時間を守らせ、有休が取れて定年まで働ける環境を作るのが労働運動の基本。
今年の春闘は大手が4年連続でベアを獲得したが、要求水準が低かった。 議論が不十分で、ベア
300円では1日わずか10円になり生活改善にならない。 大手は一時金(ボーナス)を満額回答し
て労組を取り込んだが、退職金や年金には反映しない。 基本給、月例給にこだわって賃上げ要求
しないといけない。 組合員1人ひとりの生活実態に基づいて、当たり前の要求を提示し堂々と闘う
事。 労働協約が守られているかチェックし、月40時間を守らせて残業代はあたり前に要求する。
全国に広がりつつある労働講座、地区労のあたり前の運動。 多くの人に参加してもらいたい。」
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