第5期労働講座 第4回
                

日 時 2016年4月26日(火)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室


主 催 長崎地区労 
中川弁護士 (諫早総合法律事務所) 『複数組合と使用者の中立保持義務』
「組合分裂などで複数労働組合がある場合の話。 韓国ではひとつの組合しか認めていなかったが
 複数認められるようになったものの、団体交渉がひとつの組合としかできないのはアメリカも同じ。
 日本のように全ての少数組合にも団交を認めているのは珍しい、複数の労働組合の制度。
 日本では組合の分裂は多い。 1966年に日産自動車で労働組合差別事件がありました。


 当時、プリンス自動車と日産自動車が合併し2つの組合があり、会社は少数組合に残業を一切、
 命じない措置をとりました。 団交では強制残業に反対であって、36協定に基づく残業には対応
 するとしてきたのに、残業をさせないのは経済的差別だと都労委に組合差別を申し立て、不当労
 働行為と認められました。 その後、最高裁でも一方の組合のみに命じないのは不当労働行為で
 あるので、会社側に中立保持義務というのが初めてでました。 


 不当労働行為とは制度を設けて法律で決めています。 使用者はいずれの組合にも中立的態度
 で尊重し、運動方針などに対して差別的取扱いをやってはならない。 最高裁が言いたいのは、一
 方に肩入れしたり嫌っている対応かどうかの微妙な話を言っている。 会社がもっともらしい回答を
 しても、違う態度をとるのは弱体化を狙った支配介入がある。 会社と労組(多数派組合や第2組合)
 が結託し、少数派組合や第一組合を切り崩そうとする真の動機がある場合は不当労働行為となる。


 中立保持義務違反を争った判決は多い。 長崎でも郵政ユニオンの組合事務所貸与問題があった。
 最近の判決で中立保持義務違反の例。 NTT西日本で退職者の再雇用制度導入で、多数派と少数
 派労組に提案の時期や資料説明に差があり、誠実交渉義務違反の判決がでている。 一方の組合
 が経営側と協議した内容を、もう一方の組合も求める事ができます。 


 中立保持義務で難しいのが、差し違え条件。 一時金(ボーナス)の団交で、チェックオフや掲示板
 など組合活動の問題を一括して解決しないと支給できないとありました。 一時金とは関係ない問
 題までを会社は少数組合に一括妥結を求め、少数派組合のみ支給されず最高裁まで争われた。 
 セットで解決とは言論弾圧があったとも言えたが、最高裁では不当労働行為ではないとなったのは、
 それまでの団交で会社が柔軟な態度を見せて、一旦他の要求を取り下げるなど組合ものったから。
 

 差し違え条件では裁判所に、弱体化の意図や動機をいかに認めさせるか明らかにしないといけない。
 いつも組合側が勝つわけではない。 中立といっても勝ったり負けたり半々。 どういう経緯で少数組
 合になったのか、できたのか事実関係を明らかにして情報をどれだけ収集できるかになる。 大阪に
 いた頃も結構やりましたが大きな問題。 多数派組合が会社とおかしい事をしている場合は、追及し
 ていく姿勢が大事です。」


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