第5期労働講座 第3回
                

日 時 2016年3月17日(木)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室


主 催 長崎地区労
福岡県退職教職員協議会 会長  『改めて労働者・労働組合・労働運動とは何かを考える』
「人間らしく働き生き続けるためには新しく職場に入る人に何を伝えていくか。 先生を19年間し
 て退職し、残りは組合で専従をして福岡県教職員組合の執行委員長を8年間やってきました。
 日本教職員組合は日本の学校の先生の組合。 20〜30年前、日の丸反対で右翼が騒ぐなど新
 聞に載っていたのが日教組のイメージ。 今では信じられないが戦時中は学校で先生が、戦争に
 行きいのちを捧げなさいとマジメに教えた。 こういう教育の反省から日教組はでき、他の労働組
 合は賃金や労働条件改善が先ですが、日教組は『二度と戦争を起こさせない』『戦争に行く子ども
 を作らない』と、自分たちの改善だけでなく、子どもの教育を議論する組合です。 


 労働者とは職業の種類を問わず賃金(給料)で生活する人の事をいいます。 教え子の8割は労
 働者になるので、経営者や個人事業主は圧倒的に少ない。 学校の先生は労働者を作る教育が
 最大の任務。 1947年の小学校の教科書には、どんな立派な工場でも働く人がいないと動きま
 せん、みんなが元気で働くのが大事で働く人は労働組合を作りますと書いてあります。 当時の
 文部省は中学校の教科書に労働組合とは最も重要な意味を持った組織で、賃上げや経済上の
 問題だけではなく社会的・文化的な任務を背負っている、団結によって個人では得難い知識を
 身につけるのが大切な使命であると書かれています。


 労働組合の政治活動についても書かれてあり、労働者の生活向上や適性な労働条件確立の為、
 政治に強い関心を持たなければならないと書かれていましたが、60年も経つと教科書から文言
 が少なくなり、不十分で第三者的な観点での内容になっている。 労働教育の観点からすると労
 組ってなんだろうかで終わってしまう。 組合に入っていない教職員が学校で教えるのが心配。
 子どもから先生は組合に入ってるのか聞かれた時にどう答えるのか。 労働者だったら入れと言
 えるのか、ここが分かれ道になっている。 労組の説明がキチンと書かれている昔の教科書と、
 どちらがすばらしい教科書か。 今の全国の労働組合の組織率は働く人2割しか入っていない。


 将来、労働者になる8割の子どもたちに労働組合の役割をキチンと教えていないのは、教職員の
 責任。 反省しないといけない。 戦前に虐げられた教育や労働者を守る為に、憲法や法律が作
 られた。 規制緩和とはいい言葉に聞こえるが、誰を規制していたか。 権力者や資本家を縛って
 いて労働者を縛っていない。 泥棒の縄を緩めたのと同じ。 会社に入ったら、まず一番に言わな
 いといけない事は、君たち労働者はいつでも労働組合に入れる権利があると言うべきで、学校で
 教えないといけない。 賃金は会社と交渉するが、労働法など大元は政治で決まっているので、
 私たち労働者の声を代弁し、政治を改革する議員を送りださないといけない。 
 

 これがわかっていないと、労働組合に入っていても、なんで選挙運動しないといけないの?となる。
 人間らしく生きて働き続けるため憲法と労働法で守られている。 平和運動も国民みんなの課題。
 労働運動・平和運動・政治運動は密接な関係がある。 働いている8割が組合に入っていないので、
 非正規など会社の一方的な攻撃で苦しんでいる人がほとんど。 解雇の金銭解決など作らせたら、
 どんどんひどくなる。 安倍首相が同一労働・同一賃金と言えば、詳しくない人が聞いたらすばらしい
 となるが、非正規4割からやがて6割になり正規が少なくなると非正規に合わせて賃金を下げる事に
 なる。 警戒しないと大変な事になります。 


 アメリカでは格差社会で貧困者がどんどん志願兵となっている。 今後、日本でも経済的徴兵制の
 問題がでてくる。 今、大学生の5割が奨学金であり、返さなくていいので自衛隊に入りましょうとな
 っていく。 経済的差別を温存させると、やがてそうなる。 日教組を徹底的に攻撃するのは、二度
 と戦場に送らないとあるから。 今後兵隊を作るため、学校教育を変えて愛国心を育て徴兵は苦役
 でなく任務ですと解釈して、憲法違反ではありませんとコロッといつ変えるかわかりません。 
 国を愛する兵隊を作る為、戦争を反対する日教組を潰そうとする。 
 

 労働組合が攻撃されたら、労働者の自分が攻撃されたと思ってほしい。 官民一体でいろんな労働
 者が団結しないといいけない。 福岡県教組では臨時職員の組合を作って10年になりますが、非正
 規が約600人と、どれだけ増えているかという事です。 労働組合は政治運動をしないといけない。
 かつて文部省が中学校の教科書に書いてあるのを習った70代が作った伝統を守っていきたい。」




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