第5期労働講座 第2回
                 


日 時 2016年2月23日(火)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室


主 催 長崎地区労
足立さん 労働大学 講師 『2016春闘情勢と私たちの課題』
「アベノミクスで日銀がやってきたが、結果としてのマイナス金利。 大企業が何百兆円もタンス預金し
 て世の中に回っていない。 労働者の賃金は減らされ、株主への配当は増やしている。 投資先がな
 い状況構造となっている。 国や地方自治体が赤字になってきた。 所得税のピークは1991年で、
 今は10兆円落ちた。 単に景気だけでなく、累進課税の緩和で富裕層が軽減されたから。 法人税
 も1989年に比べ、8兆円くらい落ちている。 それで税を確保する為、消費税が大きく占めている。 


 自治体も2006年の給与構造改革で賃金がドカッと下げられている。 市町村合併で自治体労働者
 は賃金が結構、違っていて労組がない所もありバラバラな状態で合併した所も多い。 そこでは賃金
 の話は禁句になっている。 同じ学校を出て違う役場に入り、合併したら月に何万も違うなどある。 
 今、自治体では6時や7時まで働いても超勤をつけない。 8時超えてようやくで、感覚が崩れている。
 賃金闘争とは賃金いくらにするで終わりではない。 どういう使われ方、働かされ方かチェックしない
 といけない。 千円賃上げしても、職場のみんながサービス残業したら同じ。 いろんな職場の方が
 いるので一概に言える話ではないが、職場での働き方に規制をかけていく事が大事です。 

 
 安倍首相は有効求人数が上がったと言うが、実態は非正規労働者が増えている。 保育所なども非
 正規に担任させるのがあたり前になっている。 同じ仕事をするのに安い賃金。 こんな状況に20年
 間、労働者は置かれてきた。 この事は様々な問題を引き起こし、非正規では結婚しずらい。 男性は
 正規だと6割は結婚できるが、非正規は2割いかない。 非正規は確実に増えていっている。 非正規
 では1人分の賃金しか含まれていない。 次世代の育成費もなく、貧困の連鎖になる。 生活保護の子
 どもは次の世代も悲観的な未来しか見えてこない。 正規労働者に大企業の賃金も減らされている。
 賃上げしていかないと若い人たちは、これから子どもが育てられなくなる。 


 若い人たちは仕事しすぎだと思います。 そのペースで、あと30年いけますか?もっとペースダウン
 すべきで潰れてしまう。 ひとりで全部かかえて仕事をやって放置されている、これはヒドイ。 ひとり
 でバラバラに仕事しているが、年輩者も巻き込んで一緒に仕事するようにした方がいい。 変えてい
 かないといけない。 若い人が、仕事しないオジサン・オバサンの賃金を下げてくれと言う。 かなり、
 しんどい思いで働いているからだと思うが、差別してはいけない。 年功序列が日本では補っていた。


 成果主義賃金の導入は、中高年の賃下げをするため採用された。 最近は年功序列型賃金をなくす
 と言われ、安倍首相が言っている同一労働、同一賃金を逆手に取れば、中高年の労働も若い人と変
 わらないから、もっと下げていいとなる。 年功序列制度は制度としてはおかしく、どちらかと言えば
 反対だが、無くすには政権を握って教育費など国が負担するようにしないといけない。 このまま年
 功序列が無くなると、ひどく格差が拡大する。 ヨーロッパのように公費で負担されればいいが、国の
 負担なくフラットにされるのは反対です。 ヨーロッパでは授業料はゼロか給付型で対応している。


 労働組合は差別を認めない体質がある。 賃金表がなくても職場や単組で正規・非正規含めた賃金
 プロット図を作る。 実際の賃金カーブで低すぎる人の是正と要求目標の算出が、格差をかかえてい
 る組合で取り組まれている。 格差是正と個別賃金要求は長くかかる、簡単に解決できる問題では
 ないが、ベアがないと是正はできない。 春闘は職場で集まり、討論や学習会をやろう。 職場での
 具体的な課題や問題を明確にして要求書を作り、会社や当局に出そう。 大手など中央で決められ
 る所でも、あくまで自分の職場の課題を出し、働き方を問題にしていく。 春闘では他の単組を激励
 しお互いに励ますように、ぜひ地区労の中でやって頂きたい。」


第5期労働講座・第1回を読む                       第5期労働講座・第3回を読む