中川弁護士 (諫早総合法律事務所) 『労働者を守る法律はあるのか。闘う機関の活用法』
「労働者を守る法律はあり貴重。 微妙なバランスの上に成立しています。 法律の種類は行政法・
市民法・刑事法と3つありそれぞれにいろんな法があり、市民法の中に労働法があります。 市民
法は封建主義社会を打ち破り市民革命を経て、王様や貴族がいない対等な関係の売買いであり、
労働者と使用者は対等です。 ですが労働者は使用者に従属し、使用者が単独決定するのが現実
で非人間的な労働条件が蔓延しています。 それを規制するのが、労働者保護法や労組法です。
日本では戦後、労働基準法が制定され発展してきている。 労働者保護法とは労働者は弱いと仮定
した法律。 資本主義の首を絞める法律がなぜできたのか。 放置すると労働者が酷使され枯渇する
ので、理性を働かせ資本が認めた。 グローバル化とは国家間や企業間の競争が激化し、労働組合
運動を弱体化させ労働者は磨滅する。 規制緩和の波で労働者保護法が痛めつけられている。
労働組合は禁止されていたが、20世紀には世界的に認められ、日本では1945年に旧労組法がで
きて、翌年に労働関係調整法ができて1949年に現在の労組法となっています。 安倍政権が規制
緩和しようとしている裁量労働制とは、働く時間配分は自由だとしても結局最後は使用者側に決めら
れる。 労働は自分の一定の時間を譲り渡す事になるので時間の定めがあり、指揮命令への労働者
の服従と言っても、魂まで売り渡す事ではない。 労働契約上の合意によって制約される。
使用者による指揮命令は1日の内の一定時間であり、労基法では労働時間の規制は1日8時間、週
40時間で規制されています。 時間帯はあらかじめ特定されるか、労働者自身で決定されなければ
労働者の人格的自立が保障されたとは言えない。 労働者の人格や健康な肉体と精神を害すること
のないよう使用者には配慮義務があります。 使用者はセクハラやいじめのない快適な職場環境を
保持する義務があり、労働者は自分の生命や健康に危険が及ぶおそれのある労働を拒否する自由
を持っています。 労働者の人格までは服従できない。
ヒゲ・長髪で勤務した人に賃金カットや差別、上司がヒゲを剃るように執拗に求めた行為は違法になる。
神戸地裁、高裁で会社の敗訴が確定してます。 使用者が事業上必要で一定の制約はあります。 例
えば労働災害防止のためや食品衛生確保のためなどの他に、顧客や取引先との関係を持つ労働者に
服装や身だしなみの制限はありえます。 ただし、労働者の服装や髪形、身だしなみは、労働者の個人
的自由に属する事柄であり、個人の自由。 髪形やひげに関する服務中の規律は勤務時間外の労働契
約の拘束を離れた私生活に及ぶので、労働者の利益や自由を過度に侵害しない合理的内容の限度で
認められるべきとあります。 労働者が立ち上がって裁判をした結果認められています。
労働者の自立性と従属性を両立させないといけないのが労働法の役割。 労働者の自立性は労働者の
努力。 労使関係では無視されがちです。 人間の尊厳が求められ、日本国憲法13条が一番大事。
個人の尊重には自由や自立、合意は失いかねないが求めていかないといけない。 法律で国民を統治
しようとするが、憲法はどの法律より上にあり、人権を侵害する事はできない。 憲法改正には限界が
あり、自民党の改憲草案は根本的に間違っていると私は考えるわけです。 国防軍を創ったりは、平和
生存権があり、好き勝手にできないと思っています。 憲法の本質からして、集団的自衛権も不可能。
労働法や憲法は歴史の中で制定されてきたもので、平和憲法が中心になったのは世界大戦があった
から。 戦前は労組法もなく労働組合は弾圧され取り締まわれ、拷問され死んでいった。 具体的法案
はあったので、労働者は服従する立場にありながら1945年にすぐに出来た。 労働者が立ち上がり認
められた権利。 国民が争い血を流し得られたのが法律。 闘いのない法律は弱い。
労働相談で解雇予告手当てを7万円請求したいと来られたが、弁護士費用が10万円かかると言って
も、経済的利益はなくても、どうしても裁判したいという人は多い。 金銭的な問題でなく人格を主張
するか破棄するかの抵抗で権利のための闘争。 権利が侵害された時に、立ち上がるのは労働者の
義務で必要最低限な事。 そういう想いで労働者は立ち上がってきた。 発展させるのも劣化させる
のも今後、労働者が立ちあがり、いかに闘うかしだい。 裁判で有利な判例を作っていくかになります。」
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