中川弁護士 (諫早総合法律事務所) 『労働者の権利と労働組合』
「法律的にはどうなのかという話をさせてもらいます。 労働者は働く約束をしたうえで労働に従事して
賃金をもらう。 使用者は賃金を払う義務がある。 売買契約は同時が原則ですが、賃金は違う。
ノーワーク・ノーペイの原則で、報酬の支払時期は第624条(民法)により仕事をした後でないともら
えない。 つまり賃金は後払い。 働かなくても賃金が発生する場合があります。 職場が火事になり
1か月間働けなくなりました。 火事の原因が社長の不始末だった事が判明した場合、賃金はもらえる。
放火されたなど、仕事ができなかったのが労働者・使用者のどちらの責任でもない場合はでません。
使用者の責任だとでます。 どちらの責任かわかりずらい場合は裁判などになります。 ストライキの
ときは賃金はでるのか?裁判上は無給です。 ストでもカットしないように、組合はがんばるしかない。
1か月間自宅待機の賃金はどうなるか。 単なる業務命令だと、家にいるのが仕事なので100%もら
えますが、懲戒処分かどうかで変わってきます。 自宅待機命令は会社にとって都合がいいので、とり
あえず来るなと乱用されています。 法律の鉄則で、理由もわからない場合は払わないといけない。
労働組合へ使用者の便宜供与については、労働組合法の第2条にあります。 労働者が勤務時間中
に団体交渉したり、組合事務所の供与は例外的に認めるとあります。 使用者といえども組合事務所
には賃貸契約があっても無断で入れません。 介入すると不当労働行為。 労組にとって心臓部です。
裁判でも、火事などの緊急時以外は入れないと認めています。 土地建物が会社の物なので、従業員
以外の者は立入禁止と言われても、裁判所では社会通念上、組合活動に必要な範囲で外部団体など
も入れます。 一旦、便宜供与されれば自由に使えますので会社構内の通路限定など表記が必要。
ILOの条約では便宜供与の条約があり、条約勧告に書いてある。 ILO条約勧告第143号には労働
者代表に与えられる勧告として、セミナーや会議・大会など出席するための休暇が賃金を喪失するこ
となく与えられるべきとあります。 全ての職場への立ち入りや、掲示板についてなど書かれています。
日本ではILOはクローズアップされないが、日本も入っているので、労組は権利を認めさせる闘いが必
要です。 労働基準法や労働組合法など他にもたくさん法律があります。 労働者にとって悪い方にば
かり改正されるので、労働法をいい方に変えていくのが大事です。」
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