国労長崎地区本部 前執行委員長 『賃金とはなにか』
「資本主義社会では全てのモノを商品にする。 空気も水も売る時代。 殺人や誘拐までも、お金と交換の中で
すべてを商品とする考え方。 労働力も一般の商品と同じ市場原理が働く。 需要と供給に左右される。
資本家と労働者の売買関係を労働市場と言う。 ハローワークや、さまざまな求人広告がある。
会社が労働者を雇うのは労働者のためではない、儲けるため。 労働者は8時間労働のうち、4時間で自分の
賃金を稼ぎ出し、後の4時間は資本家のために働いているが、見抜けません。 経営者側は労働者がつくりだ
した剰余価値を利潤や儲けとして懐に入れる。 8時間労働の中で働かせ、資本家はただで儲かっている。
経営者は2時間ただ働きさせると、新しい付加価値を生み出し、さらに利潤を生みだす。 労働時間を延ばせば
延ばすほど儲けは拡大する。 何時間でも働かせようとする資本家。 いくら性格の優しい善人の資本家でも、
労働者から搾取する事は避けられない。 資本家と労働者は対立関係にある。
資本家の賃金に対する考え方は企業あっての労働者。 企業が儲からなければ賃金は支払えないと、支払能力
論の上に立って支払う考え方。 運命共同体で労使は協力して生産性を上げれば労働者の賃金も上がる考え。
労働力と労働の区別はマルクスとエンゲルスによって発見され、賃金の本質や資本家による労働者の搾取が明
らかになった。 労働者1人ひとりは、資本家階級と搾取関係がある。 生産手段(農地・会社)を持たない労働
者は資本家に自分の肉体的・精神的労働力を商品として売って生活している。 売っているのは労働ではない。
資本家はこういう考え方は取り入れない、大幅賃上げをしないといけなくなる。 売上高の一部から賃金を払う。
労働者と資本家が付加価値から分ける考え方。 経営者は付加価値からあらゆる経費を計上して付加価値を下
げて、残った分から賃金を払うという。 賃金は雇う側と労働組合との力関係でなくて、お互いのとり分の問題。
資本家は労使協調の関係を言い続け、不況の時やグローバル経済の中で、企業が生き抜くために内部留保して
賃金を上げられませんと言う。 1989年以前は労使は対立関係にある考え方で行っていたが、今の労働者全体
は容認する立場になってしまっている。 資本家と労働者の利害関係は、決定的に対立し衝突する関係にある。
労組の役員は資本家に労働力を高く買わせるのが目的。 腕の見せどころで、どうしても高く買わない場合は、み
んなで労働力を売らないようにストライキする。 春闘の賃上げの状況も70年代に2万8千円上がった年もある。
1989年以降はストライキの件数がガタ減りして、闘う姿勢がとれていない。 役員の交渉能力も落ちている。
労働者の賃金引上げは資本家の利潤の減少を意味する。 資本家の利潤に対する欲望は無制限である。
労働者が賃金闘争を闘う2014春闘。 なぜ、賃金理論を今の社会の常識と違う内容で学習するのか。 労働者
が人間らしく生き続け働き続ける為には、コレを知っておかないと資本家の経済学に負けて、権利が守れない。
お金持ち優先の都合がいい政治政策を取るのはなぜか。 日本の政治について、賃金理論の中から学んで考え
て頂きたい。 私に言わせると、今の憲法は資本主義下の中の憲法。 資本家と労働者の関係は法律上は対等
と言われるが、どう見ても雇う側が有利な社会。 資本家は労働者を分断させようとクサビを打つ。
資本主義では金がいる。 どうしても働き口を見つけなければならない。 労働者は売り急ぐ必要があるが、資本
家はそうではない。 200万人の失業者がいる中で、いつでも辞めていいと言って労働者にモノを言わせない状
況をつくる。 人間らしく生きる権利を労働者はみんなでスクラム組んで、団結する体制をつくらないといけない。
1955年に先輩方が春闘をやろうじゃないかと、一斉に春に要求して公務員も民間もストライキを打ってやろうと
いうのが春闘。 アベノミクスの中で経営者を代表する日本経団連は、今年は賃上げをしようと動きがありますが、
闘わないと賃金は上がりません。 この時期に集中して要求し、全体の闘いとして勝ち取る流れでいけばいい。」
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