第3期・労働講座 第3回


日 時 2014年1月16日(木)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労働福祉会館・2F大会議室


主 催 長崎地区労
杉田さん(熊本学園大学教授・労働大学講師) 『ヨーロッパ労働運動に学ぶ』
「資本主義は会社中心で儲けなければならない。 国内、国外どこでも儲けなければならない、力は資本。
 歴史的にいつからそういう社会になったのか、日本は江戸から明治。 その前から資本の動きが徐々に
 あった。 資本が中心に会社が中心となる社会。 ヨーロッパの現状をご紹介して問題提起していきたい。


 EUは28ヶ国が加盟し、ユーロという貨幣を使っているのが18ヶ国。 イギリスやチェコのように自国の
 通貨を使っている国もある。 ドイツの自治労は統一サービス産業労組(ヴェルディ)という。 政治教育
 活動としてヴェルディは、このような労働講座を年間600回行っている。 泊まり込みで一週間の研修。


 1863年に世界ではじめて労働者の政党としてドイツ社民党ができた。 その頃、日本は江戸時代。 
 資本主義の特徴は経済が時々おかしくなる。 最初の恐慌は1825年起きた。 歴史的理論的法則性で
 資本主義での失業者が生まれる。 リーマンショックはまさに資本主義の弱さ。


 2005年〜2009年の大連立時代に労組の社会民主主義離れが加速した。 ドイツ社民党は社会保障
 政策に年齢、失業の切り捨てをやりだし、労組は反発して社民党との関係がおかしくなった。 ドイツだけ
 でなく、イギリスの労働党も日本でいうところの連合と、この時期おかしくなる。 


 政党と労組の関係がどうあるべきか、21世紀の初めから今も続いている。  政党と労組は昔は兄弟の
 関係だったが、21世紀の初めから友達関係に移っている。 友達は選ぶ事ができる。 


 ヴェルディは緊縮財政、財政健全化のため労働者の生活を切り捨て迷走した社民党を徹底的に批判した。
 労働組合は質的に新しい活動を追及し、セミナーを重ねて創り上げた戦略が生活上の配慮であった。


 生活上の配慮を政治戦略として掲げた場合は、組合員の生活条件改善のためだけに労組があるのでは
 なく、社会問題改善のために労組が運動しなければならない。 新自由主義に対抗するためにでてきた。
 企業内の組合の事しか考えないと限界がある。 どう乗り越えるか重要で、ヨーロッパでは行っている。


 生活上の配慮をテーマに、労働組合活動の戦略的プロセスの中心においた。 人間がすべての物差しで
 あり、資本や会社が物差しではない。 人間が安心して生活できる事が生活上の配慮。 公共サービスを
 中心にやり、民営化について徹底的に反対した。 これが大事で、みんなのモノを民間に売ってはいけない。 


 人員を削減したり、非正規を増やすやり方は、コスト人件費削減。 EUでは正規にするようにして成功した。
 ドイツでは最低賃金8.5ユーロ(1200円)が大連立の条件であると、ドイツ社民党がスローガンで最低
 賃金8.5ユーロを作った。 ヴェルディはここで社民党を受け入れ2010年には一緒にやろうとなっている。


 資本と対峙し新自由主義的な資本主義と対立軸として、友人関係の政党と社会民主主義の形をつくりあげ
 ましょうというのがヨーロッパの現状で、友人から兄弟に移り再構成を図っている。 日本は労組も、政党も
 反応が鈍い。 なにが鈍いか、原点や出発点。 労働組合と政党の関係を見直す時期にきている。 


 安心さをどう作るかが労組の課題。 ヨーロッパの中で民営化は、生活上の配慮ではよくないという。 公共
 サービスとは何かというと幅広い。 生活上の配慮とは、サービスは公共が本質なんですと申し上げたい。 
 日本でどう活用できるか。 地域の運動はまさしくインターナショナルな問題。 国際的な問題は地域の問題
 でもある。 日本の労働運動の将来像を、一緒に考えていけたらと思う。」



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