国労 長崎地区本部 前執行委員長 『賃金とはなにか』
「1人ひとりの賃金とは、たんなる労使の関係だけでなく、日本や世界の政治や経済の大きな流れで決まって
きている。 賃金理論は経営者によって決定されるが、労働者としての賃金理論を学んでいく必要がある。
資本家と労働者の賃金の考え方はあきらかに違うと考えて頂きたい。
社会が発達し資本主義経済は、資本家がたくさんの労働者を働かせ搾取する。 労働力を資本家が買って働か
せる事を労働と言う。 労働者が資本家に売っているのは労働ではなく労働力という商品である。
資本家の賃金論は、会社あっての労働者。 会社は労働者を雇用してやっている、賃金は商品を生産・販売し売上
高の一部から、儲けた中で経費を引いて支払う考え。 賃金は労働の対価で後払いの原則。
労働者の賃金論は、労働力という商品につけられた値段。 その価格は他の商品同様に供給と需要によって決まる。
資本家の支払い能力で決まるものではない。 賃金は労働力商品の対価で前払いが原則。
我々は労働できるという能力だけを一定時間売っている。 労働力の価格は労働力の価値によって決まる。
資本家は労働力を購入して働かせるが、働かせることによって資本家が投入した価値以上を作らせる。
資本家と労働者の関係は搾取する者と、される者の関係。 どのくらい資本家にタダ働きさせられているかが
剰余搾取率。 労働者は労働で賃金相当額と、剰余価値をつくり出している。 剰余価値は資本家の懐に入る。
資本家は不払い労働の事実が見えないようにする為に、賃金は労働の対価というのである。
失業者が多いほど、資本家が必要とする時、手軽に低賃金労働者を確保できる。 資本家は雇用問題で失業者を
なくす事に関心はない。 大手でも、いつ失業者になるかわからない。 不平不満があっても言わない従順な労働者
がつくられている。 賃金や労働条件は労働者の強い団結と闘いで勝ち取るものである。
企業が儲からないと賃金があがらないという考えは、資本側の考え方。 資本家は莫大な資本を蓄積し、金を使い
きれない状況になっても、労働者に還元する姿勢はまったく見せない。 資本家がデフレ経済の中で蓄積する一方
貧困層が拡大されている。 労働者が資本家と闘わない限り、低賃金にさらされ非正規労働者は拡大の一途となる。
我々は、全ての富をつくり出した労働者に富を返せと闘う以外に、大幅な賃上げや雇用確保を勝ちとる事はできない。
賃金は労使の力関係で決まる原則に立ち賃金闘争を闘わねばならない。 資本家の立場に立った賃金論ではなく、
働く者の立場に立った賃金理論を多くの労働者の中に広めて行かなければならない。」
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