国労 元長崎地区闘争団 団長 『日本社会のしくみ』
「国鉄分割民営化から社会のしくみを考えると、大企業が儲けるため民営化して、資本の意図が通るしくみを
造る必要があった。 国鉄は国家の財産であったが、支配しているのは時の政府・時の政党。 その政党へ
献金するのは財界・大企業。 赤字を全面に出し、責任を労働者に押し付けた。
公共企業体は個別資本に従属していないが、政府の圧力に弱い。 国民に鬱積した不満を誰かを叩くことで不満の
はけ口とする。 今日の公務員攻撃と同様で、民間労働者と分断し世論操作で労働組合を悪者に仕立て上げる。
他人の叩かれるのを見て沈黙することは、いつか自分へ跳ね返ってくる覚悟を。 それが資本主義社会のしくみ。
日本の資本主義も生産力の発展と共に変化してきたが、過剰生産は不況を呼び失業者が増大する。 そこで資本家は
利益を生み出すためスクラップ&ビルドを強行する。 その最終手段が戦争である。
資本家が儲けるため労働者を雇用する社会。 資本も大・中・小・零細資本に分類され、大は独占資本でひとつの産業を
数社で支配する力を持つが、零細では資本家も労働者として働く。 大手独占資本が中小零細を支配し、中小零細の
資本家は自ら雇用した労働者から搾取しながら、片方では独占資本から収奪されている。
現在の経済支配のしくみは、銀行と産業が融合した金融資本が国の経済を支配し、政治までも支配下に置く体制。
国の税金を一番使うのは、国・地方自治体に群がる独占資本をはじめ、各界・各層のあらゆる資本家たちである。
日本で税金に関係ない人はいない。 ほぼどこかの形でみんなに税金が入っている。
TVなどでは働く者のいいようには言っていない。 新聞やTVが毎日流すとウソでも本当のようになる。
事実は書くが、モノゴトの真実までは書かない。 すべてのマスコミが悪いとは言わないが、スポンサーは大手企業。
社会のしくみを変えるには労働者が団結し、政党を作って政治家を送るのがベストだが、労働者の代表を持つ政党は少数。
労働組合が国会に乗り込んでもダメで、自分たちの意見を国会で言う政党がいる。 経済のしくみを変える方向をめざす。
経済と政治は互いに影響し合うから、まず職場で労働組合が力をつけて経済面での力関係を変えていく。
世の中を変えようという、その怒りを組織的にしないと世の中変わらない。 労働組合の組織率は2割弱に低下している。
だから労働組合がない8割の労働者を組合組織し、意識を持った労働者にすれば社会のしくみを変える力となる。
この闘いで会社・資本家の激しい妨害、抵抗が起こるが、労働者がストライキやデモ、大衆運動の闘う姿勢を持つならば、
農漁民、学者、文化人も賛同する。 労働者は世論が味方の時に闘うのではなく、労働者の力が高揚する時に世論は味方
となる。 労働組合の闘いは政治を前進させる力となる。 組合と政党は相互に支持、協力関係を持たねばならない。」