第7期労働講座 第4回
                

日 時 2018年3月27日(火)18:00〜19:30 
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室 


主 催 長崎地区労
小笠原さん(労働大学 講師) 『資本主義社会の発展が労働者の成長、労働運動の発展を促す』
「1970年代〜80年代に電電公社(現在のNTT)で働きながら労働運動をやって、労働組合の運動
 を通していろんな事を学んできた。 労働組合に関わるキッカケは、自分から進んでというのは、あま
 りないと思う。 官公庁に入るには試験+連帯保証人が必ずいる時代だった。 就職するのに保証人
 がいると、世の中の矛盾を感じた。 土木工学の専門で、マンホールや電柱の設計をしながら、地元で
 定年まで働くのが私の希望だった。 教育を受けてきたある日、広島へ転勤してくれとなる。


 教育訓練で何百万円も君に投資し、まだ一円も公社に返してもらっていない、5県・管内を周りながら
 仕事をしてくれとなった。 ’70年代は黒電話がどんどん普及して、ものすごく忙しかった時代。 組合
 の役員をやると、みんなをマトメないといけない。 統率力があると出世の登竜門だった。 今はベア
 1%もないくらい後退しているが、ストライキで32%の賃上げを勝ち取った高揚期。 ストを設定し、
 2〜3万円要求して勝ち取る全体的な流れがあった。 ストの時は前日から、みんなで泊まる。


 スト破りをさせないよう、ピケを貼るのが青年部の仕事だった。 青年部の役員になり、職場で一生懸
 命に働いていたら、先輩からみんなの不満や要求を聞くのが役員の仕事だと教わった。 当時は定年
 の2〜3年前に辞めて、子どもを入れるというのが、他の職場でもあった。 年金がでないので、臨時
 で3分の1くらいの時間給で働く、今の再雇用があった。 現場とデスクの仕事があり、デスクから見る
 と現場は自由に休み仕事に責任を持たない。 現場からはデスクはタダ働きが多いのが当然の職場。


 分断され対立し、共通意識になっていなかった。 電電公社は合理化で、30歳以下の若いエリ−トを
 組織して、新しい技術を率先して進めるようにしてきた。 機会化が進み仕事についていけず、年輩が
 居ずらくなる。 新しい機械の導入で年輩が職場から去り、若い人には2重3重の労働強化の悪循環。
 労働者が発展させた技術で、労働者が駆逐されるのが今の資本主義。  自分たちの職場が、どのよ
 うに変遷して変わってきたか。 今の社会そのものを示している。


 青年部で学んだ日常の職場からの要求づくり。 人を増やす要求は難しかった。 人を増やすと定年
 まで膨大な賃金となるので増やさない。 2〜3年要求を続けたが中々進まない。 デスクの労働環
 境を緩和しようと、順法闘争をした。 就業を時間通りに始め、昼休みもキッチリ休み、定時で上がる。
 タダ働きはしないと全員で就業規則どおり1ヵ月間やり、公社の言い分は新規事業の為と言ったが人
 員増を勝ち取る事ができた。 分断攻撃を跳ね返した、英雄なき30日の闘い。 


 1985年に民営化という合理化が行われた。 手で電話の回線を繋いでいた交換部門の女性労働者
 たち12万人が辞めている。 合理化でセールスに回され去っていった。 今では電話機の販売業務
 は下請けの非正規労働者が担っている。 さらに分社化で50歳でNTTを退職し、子会社に行き賃金
 は3割減で同じ仕事をする。 この制度は2015年に廃止となったが、合理化の手法は他の民間など
 に導入され、総人件費の削減で、労働者の賃金と雇用条件の引き下げとなった。 


 労働者は人間らしく生き続け働く権利がある。 健康でないと働けない。 働いている人の内、労働
 組合に組織されていない人が83%いる雇用状況。 非正規労働者の問題も、結局は労働者全体が
 下げられる。 人間性を回復する組合運動。 お互いの足を引っ張り合わない、協力し合って賃金や
 労働条件に平和を守る。 戦争への危機が高まっている、家族や次の世代が安心して暮らせなくな
 るので平和運動も今、精一杯やる時期に来ている。 仕事が忙しく人の事を構っていられない現状。


 一人ひとりの不満を聞きながら、人と人との信頼を作らないと、一緒に改善しようとはならない。 
 日常の活動は大切で、動員もみんなで集まり、お互い顔を合わせていく事で、職場や地域で話して
 もらえれば、世の中が少しずつ人間らしく働ける社会になっていく。 日本は格差社会と言われてい
 るが、日本は階級社会になっている。 団結して、これから先の世の中を少しでも良くしていく方向
 にするのが組織された労働者。 一つひとつの運動が歴史の歯車を正しい方向に動かしていく。」




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