足立さん(労大講師) 『資本主義社会の仕組みと労働組合の役割』
「労働組合とはどういうモノなのか、話していきたい。 江戸時代は鎖国して封建社会を維持していた。
基本、農業が主体だったが商業が発展して年貢だけで賄えなくなる。 武士は米を受け取っている
イメージだが、お金で給金をもらっていた。 ヨーロッパでは産業革命で工業が発展し、進歩をとげた。
中国がアヘン戦争で負けて半分が植民地になり、次に日本が植民地になる危機感で江戸幕府を倒し、
明治政府となり、労働者が大量に必要になった。 労働者は何も自分で生産する手段をもたず毎日、
自分の労働を売っていくしかない人。 資本家は労働者を雇い、生産させる社会となっている。
この世は、あらゆる物が商品、お金が無ければ手に入らない社会。 みなさんは労働力を売って賃金
を得ている。 自分の労働力を売る以外、生きる術がないから。 生存する事を条件に明日も働き、生
き続ける費用となる。 最低限の費用は衣食住、もうひとつが文化的な生活。 人によって違うが人は
ただ働く為に生きているんじゃない。 資本主義社会では、なかなか労働の喜びを受ける事はできない。
会社は売らなければいけない商品があって、こんな物でも売らなきゃいけないので、喜びが得られない。
趣味で作ったりするのは、本来的な労働要求を趣味の中で達成している。 いのちには限りがあり、
次の世代を育成しないといけない。
日本では賃金の中に教育費が多く負担となっている。 ヨーロッパの労働組合では社会が負担する
モノだと言われる。 会社や当局に要求するモノは、安全講習を含めて講習の費用は時間内に行か
せるように交渉すると、賃金からの負担にならない。 個人に負担させるなら、賃金に含めろと要求
してかまわない。 最低賃金はアメリカで15ドル、1500円で月25万円くらいとなる。 日本の青年
女性も月25万円はないとおかしいが、アメリカだと最低賃金。 日本の大企業は金を貯め込んでいる。
リーマンショック以降、ずっと増えている利益。 しかし売上は減っていて、今年は売上も増えた。
売上が減っているのに儲けを増やすには、ひとつは賃金を下げれば儲けは増える。
職場の中に、この10年で非正規が増えた。 経営者から見れば、どれだけ人件費が浮いたか。
そして正規も賃金を減らされ、公務員も減らされたんです。 民間はターゲットが中高年、成果給を
入れた。 売上が減っても利益は上がっている。 贅肉を絞りとったのは労働者の賃金。
労働時間の延長で、20時過ぎないと超勤をつけないなど、3時間タダ働き。 昼休みをちゃんと、と
っていますか。 昔は交渉結果を夕方に配る夕方ビラがあり、17時にタイムレコーダー前で蒔いたが
今はみんな職場にいる。 労働時間の延長が進んでいる。 10人の職場で2人減らし、労働の量が
増大している。 仕事量が減るわけでもなく、人も増やさず残業代が減っているのは資本家側の成果。
職場での働き方が、ものすごくハードになっている。 若い人はアタリ前で気づかないが、要求レベル
も上がってきている。 安倍政権と自民党が支持されているのは経済界に、言ってくれると期待してい
るから、政治になんとかしてもらおうという意識。 資本家にやってもらうのは奴隷の考え方。 労働者
のみなさん自身が労働組合として、会社や当局に要求し交渉して賃上げを勝ち取っていかないと。
メーデーの起源は8時間労働で、休息8時間、自分の時間が8時間なんですが今、自分の時間を8時
間持ってる人はいない。 年休を完全解消しようとか、定時に帰ろうとか昔の労働組合はやっていた。
みなさんは、労働力の再生産はできているか。 翌朝、元気に働きにいけますか、あーダルイなーとか、
日曜の夜、これから一週間始まるのか、では再生産できていないという事。 1日休んで疲れがとれな
いなら休めばいい。 60歳まで健康で働き続けようが、昔の労働組合のスローガン。 今や65歳が、
75歳まで働けという感じなんです。 定年まで働けますか、セーブしながら働かないともたない。
組合が言わないと。 労働組合には優位性があり、労働3権として団結権、団体交渉権(労働協約締
結権)、争議権がある。 会社と交渉し、うまくいかない時にストライキや争議をする権利で、刑事免責
と民事免責が適用されている。 だから会社は暴言を吐いたとか、暴力とかでっちあげて弾圧してくる。
労働者は雇われる時に会社と、仕事内容や休日、賃金の労働契約を締結するが、日本ではほとんどし
ていない。 海外に日本企業が進出して、現地の人にコピーしてくれと言ってもやらないのは、決められ
た事以外の仕事はしない、人の仕事も取らないが日本はあいまい。 世の中は不平等がある。
法律は世の中の最低限な事なので、法律より上回る事を労働組合の役割として、しっかり勝ち取ってい
く事が大事です。 これからの労働運動に、労働組合の役割りがかかっている。」
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