前川さん (前 文部科学事務次官) 『いま教育を思う―加計学園問題と授業への不当介入』
「文部省に38年間、若い頃は先輩に飲みに連れていかれ、楽しくなかった。 私が上に立つ立場にな
ってからは、しませんでした。 上司が誘うと断れない、個人の生活や時間を犠牲にして付き合わな
いといけない。 安倍政権の腐敗と暴走の状況、見えている国民もいるが見えていない国民もいる。
1年前から嘘をついていたのはあきらか、ここまでくれば嘘つきだと言っても名誉棄損にあたらない
と思います。 あきらかな事実。 愛媛県の文書など、出てきた文書は動かぬ証拠。
小学生でもわかる嘘。 嘘に嘘を重ねて、他にも安倍さんは本当でない事を言っている。 総理は
自分の口からは言えなかった、間接的に私は指示を受けたと思っている。 国会答弁で私の名前
を出すが、嘘をつかないでほしい。 今年4月開設で、昨年1月に条件を公にしたが他に手をあげ
るところはなかった。 以前から加計学園はフライングして教員を集め、施設のボーリング調査も
やっていたのは、自分たちが造れる確信があったから。 不公正な審査と後付けで他を排除した。
表にでない整合性の為に総理も1月に知ったと言うしかなかった。 加計隠しが行われた。 在任
中、総理の意向で加計ありきは知っていました。 初めから明白だった。 しかし、愛媛県文書は
加計ありきは2015年2月以前からあった。 国家戦略特区のしくみ、今治の獣医学部が国際的
な拠点になるか疑わしい。 総理の虚偽答弁が露わになっている。 森友学園問題も、総理夫人
が濃厚に疑われている。 虚偽答弁、文書の破棄、官僚組織が歪み、嘘をつきまくっている。
財務省だけの問題ではなくて、そこまでさせたのは誰か、つきとめないといけない。 役人は臆病
な存在、大過なく過ごす習性ですから。 良い事も言わないが悪い事もしないで、定年を迎え退職
金をもらう。 自分で不正し嘘をつく事は絶対にしない、政治の力がかからないと動かない。 わざ
わざしたのは、政治の力が働いているから。 官邸を含めた政治の問題。 政治の支配が警察にも
及んでいる。 むき出しの国家権力、政治に支配され危ない。 安倍政権の縁故主義も、あちこち
に見られる。 絶対的な権力は腐敗する事が、今起こっています。
総理官邸が行政全体を支配している。 行政は内閣という合議制で総理大臣といえども、各大臣た
ちに命令できないが、部下のようになってしまっている。 与党総裁の党内での支配力が強く、安倍
さんに嫌われたら、議員にも大臣にもなれない。 各省の幹部人事も把握され、任命権は大臣。
官邸の顔色を伺う事実。 私は事務次官になり、国家公務員といえ仕事が終われば、一国民として
表現の自由を行使した。 憲法違反でおかしいと思い、安保法制の反対デモにも参加していました。
各省の独立性が失われ、官邸が決めて実施する機関になっている。 内閣法制局もNHKも日銀も
安倍さんの言う事を聞く人を据え付け、支配されていく。 人事権を乱用している。 自民党内にも、
護憲派はいたが、声を出せなくなった。 最高裁の裁判官も内閣が任命するので、行政・立法・司法
まで危険な状況にある。 私は勇気ある告発をしたと言われるが、そうでなく聞かれたから答えた。
英雄だと思わないでほしい。 官邸と大新聞が結託した攻撃は怖い、人格攻撃で発言力を葬り去る。
憲法改正の為、メディアや広告会社を使い、国民の考えを支配してメディアで動かす。 21世紀ファ
シズム。 個人を国家に従属させる教育が進んでいる。 個人の学習権、教育は個人の尊厳に端を
発している。 複合的な人権、学ぶ内容を押し付けられない。 学習権、知る権利は非常に大事です。
憲法改正するのであれば、政府を監視する、知る権利をキチッと書かないといけない。 共謀罪・
特定秘密保護法・安保法制はどういう帰結を持っているか、学ばなければワカラナイ。
憲法好きじゃないという人が安倍さんを筆頭にいて、憲法改正の動きが強くなっている。 戦後廃止
された教育勅語や修身の復活をめざし、国家主義的な方向で道徳の強化や奉仕活動の義務化など
政治が教育を支配する。 教育基本法改正は、道徳心を培うとか、公共の精神で社会に奉仕すると
か子どもたちを全体の型にはめる考え方。 政治が教育を決めるんじゃない、行政が教育に入り込ん
ではいけないが大きく書き換えられた。 政治の教育への介入は危険だ、介入を許してはならない。
安倍政権における教育政策は、戦前回帰が強い。 道徳は今年4月から特別教科になり、私も心な
らず加担していたので問題点を指摘できる。 全体の為に、自分を殺した自己犠牲、個人でなく国家
への帰属、日本人としての自覚が強調されている。 人権とか地球とか大きな視点が抜けている。
個人を否定し、国は忠誠を求める。 ユネスコ憲章とは真逆、国境を越えた繋がりで平和は維持され
る。 政府や政治で維持されるものではない。 本当の平和は人の心。
國體思想(国体思想)、道徳を通じて戦前の家長制度は、国の一大家族化と相似形。 こういう考え
を復活させるのはとんでもない。 個人を尊厳する日本国憲法とは相いれない。 今の教材でも学校
の先生は考える生徒をつくれるはず。 途中まで読んでやめて、みなさんにどうしたらいいか聞く。
意見は別れ正解はない。 モノを考え議論するのが大事。 考え議論する教育。 公立学校の先生
は残業代がなく、裁量労働制を先にやっている。 先生の過労死は、かなりいます。 残業代を払う
仕組みを変えて、仕事をいかに減らすか、先生以外のスタッフを増やすなど、ちゃんと取り組まない
といけない。 30年に渡る行革の帰結。 評価の為の評価で競争し、質が良くなると言う空理空論。
私は辞めてから官邸に睨まれても、心配ないところで発言しているが、現職は自分のポストが掛って
いて排除されてしまう。 文科省や財務省から勇気をもって内部文書を外に出している人間がいる。
現職中には告発までしませんでしたが、辞めてから言論の自由を手に入れました。 心ある公務員が
国民の為に真実を、心ある官僚がいれば解決する。 メディアに騙されるな、安倍さんのウソを信じる
な。 無批判に見るのではなく、批判的に見る。 若い人は騙される、世代間の会話も必要。
嘘をついたら捕まる証人喚問が必要です。 国にはリコールがない、憲法改正をするんだったら、首
相にリコール請求を使いたい。」
言論の自由と知る権利を守る長崎市民の会 事務局長
「安倍一強政治の中、政治は官僚もメディアも政府も支配されつつある。 戦前回帰を多くの方に伝え
政治を変えていく必要がある。 安倍政権を批判するメディアに攻撃し、圧力をかけています。
メディアは権力をチェックし監視する、それを放棄したら、やりたい放題になる。 2年前に会を作り、
講演会を開いてきました。 7月にはメディア関係の現役やOBで全国組織を立ち上げます。 これか
らも言論の自由を守り、自由にモノを言える社会を守り、戦前に戻さない想いでがんばりたい。」
第4回言論ながさき講演会を読む 第6回言論ながさき講演会を読む