第9期労働講座 第3回
                

日 時 2020年3月19日(木)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労会館・2F大会議室 


主 催 長崎地区労

平地さん (佐賀大学 経済学部教授) 『働く者から見る経済〜不安定な資本主義の世界〜』
「新型コロナウイルス感染症の脅威に、株式市場の乱降下が拍車をかけて世の中がずいぶんと動い
 ている。 経済への波及、不安定な今の資本主義の状況。 佐賀大学は今、春休みです。
 人類は狩猟や採取から農業・畜産の食糧生産革命で、支配者階級が生まれた。 サピエンスは1
 カ所に集まるようになり、それからが人類と感染症とのキッカケになった。 いろんな歴史があり、
 人類は感染症を克服してきた。 14世紀にペストが流行り、黒死病と教科書に書かれている。


 当時は封建社会で、日本では殿様と農民。 ヨーロッパで人口が激減した事が、農民と殿様との関
 係を変えるキッカケとなった。 昔と違い経済のグローバル化によって、あっという間に世界に広が
 る。 国際的な協調関係で克服しないといけない。 人類が克服していないのは、資本主義の不安
 定さ。 コロナ問題で人々は仕事が無くなり、生活を直撃してしまっている。 ここ数日、安倍政権
 は言葉だけで何をやっているかワカラナイ。 私、個人の意見では一律全員に20万円を現金で支


 給する。 24兆円を出し、中小への貸付けの2つをやらないといけない。 景気の循環は波があり、
 リーマンショックから少しずつ回復して、そろそろ落ちそうな時期であった。 安倍政権は景気回復
 期に重なっている。 この20年、労働分配率を見ると下がり続け、企業の取り分が増えて投資や
 株へ回り株式市場が活性化した。 景気を良くしようとして物価を上げて消費を喚起しても、賃金が
 上がらずうまくいかなかった。 最近、株が下がり日銀の含み損がでて次の財政政策が打てなくな


 っている。 国民に一律支給するしかない。 財源の具体的確保は法人企業への課税。 日本では、
 この20年消費税を上げて法人税を下げてきた。 1990年に戻せば20兆円はすぐにいける。 
 所得税の累進課税75%と昔に戻すだけで30兆円はでる。 この際、ピンチはチャンスと日本の税
 率を1990年代に戻して課税する。 思い切って戻す考え方を、個人的に思っています。 中小へ
 の貸付10兆円は赤字国債にする。 今回は、そういう財政政策を打たないと対処できないと思う。


 今の株の下落は2008年と同じかどうか。 ’08年は、それ以前の構造的問題から起きた金融危機。
 今回は自然現象なので一概に同じとは言えない。 2014年に消費税を8%増税して、アベノミクス
 は全体からすれば失敗で、消費も落ち込んでいる。 消費が伸びないと経済は成長しない。
 昨年のゴールデンウイークは天皇の代替わりになり、休日が増えて2兆円の経済効果があった。
 みんなが休んで消費した。 経済は生産と消費がないと成長しない。 より日本の税収を膨らませ、


 社会保障をするには、富裕層や金持ちから税金を取る。 支給は、所得に関係なく全員にやる必要
 がある。 不平等な社会ほど、その社会の寿命は短い。 競争が激しいと、金持ちでも寿命は短くな
 るので、資本家も自らを助ける事になる。 この20年で資本家や経営側がやったツケが回ってきた。
 日経連は総額人件費の削減で、社会保険を払いたくなかった。 公務職場でも非正規労働者が増
 えた。 日本の税収が減った理由の一つに、低所得者層が増えて納税できない層が増えている。


 アメリカ・イギリス・カナダは新自由福祉国家で、小さな政府の中で公的福祉をやる。 小さな政府、
 小さな考えでは給付の所得制限がついているので、生活保護と同じで、安倍政権の場合はダメだ。
 働き方改革が手段で、70歳まで働くのも財源確保が目的。 働けない人は社会のお荷物となって
 しまう。 健康づくりはイイ事だが、目的が医療改革と一緒で、そういうレベルで考えられている。 
 私たちの社会のありかた。 資本主義的な市場に任せたやり方はダメで、みんなで解決する。 


 ドイツ・フランス・イタリアの保守主義的福祉国家は、社会保険を実際に払った人が権利として支給
 を受けるが、問題は出せない人はどうするのか。 フインランド・デンマーク・ノルウェーは、社会民
 主主義的福祉国家で、すべての人が普遍的な社会保障となる。 社会保障の考え方が違う3つの
 分類は、社会保障の歴史。 この際、考えないといけない。 富裕層への課税と、法人への課税を
 恒久化していく。 日本の社会保障は普遍的に歩みつつあり、大きな政府にするしかない。」




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