山川 剛さん (長崎県原爆被爆教職員の会 副会長) 『平和問題ア・ラ・カルト』
「平和を学ぶ入口は今だ。 小学校教員を退職後、活水高校の社会科ではこの話から入っていた。
時計の針は、過去・現在・未来へと自然の時間の流れ。 平和をまなぶ時は、『今』を先に置いて
います。 今の世の中の動きをしっかり見る事から始まる。 え、なんでという事が起きる。
なぜを解明しようと思ったら、昔に遡らないとワカラナイ。 こんな事があったからコレがある。
平和公園に全部で16のモニュメントがある。 1985年に中国から送られた『乙女の像』は、
日中関係が良好の時代で、裏に和平とあります。 金属製の柵に囲まれ、センサーで誰か入ろう
としたら2ヵ所の監視カメラで管理室から映像が見れて、一晩中2つの照明で照らされている。
他と際立って、厳重に守られているのはなぜだろうか。 修学旅行生に聞くと、大事にされている
んだなと言う、だけど違う。 過去に、赤いペンキがかけられていた。
米軍の飛行機は日本上空を自由に飛べるが、飛べない所がある、どこでしょうか。 米軍住宅の上
が飛べない。 危険性を知っている、大きな人権差別。 日本には航空法がある、日本の法律。
米軍機は適用除外となっている。 人家がない所や海面は最低150m、住宅地域は一番高い所か
ら300m以上でないと飛べないが低空60mで自由に飛ぶ。 住民をびっくりさせる為、わざと
低空で飛ぶ事も過去あった。 1960年に日米地位協定と名前が変わるが中身は変わっていない。
占領期と同じように軍隊を配備し続ける。 米軍は自由に決められ、好きな場所に好きな数、軍隊
が置ける。 表向きの看板は在日米軍と言うが、占領軍。 米軍のヘリが墜落しても警察は入れず
日本は関与できない。 米軍の財産に検証する権利を放棄している。 治外法権。 日米地位協定
は、日本国憲法の上位にある。 裁判で騒音問題は、健康被害を公害と認められるが、飛行差し止
めは棄却される。 羽田から九州に飛ぶ場合、すぐ西に飛べない。 米軍基地上空は、米軍機以外
入れず、いまだに続いている。 東京の周りには基地があり、独立国の首都が取り囲まれている。
東京立川市に米軍基地があり、拡張反対運動で裁判闘争となる。 憲法9条に違反すると、東京
地裁ですぐれた判決が出された砂川事件。 仰天した日本政府は、アメリカの意向に沿った判決
を出すよう密談を重ねる事になる。 安保条約は高度の政治性で裁判になじまないと、最高裁は
憲法判断をしない。 この判決がいまだに生きていて棄却される。
長崎市では毎月11時2分にメロディが流れます。 当時の
県評(現在の県平和センター)地区労
にお願いし、1980年に市に請願した。 長崎県教職員組合が中心となって相応しいメロディは
『原爆を許すまじ』としたが当時の民社党の議員らが猛反対し、騒音公害になると言う。 最終的
に堂々と削除できると、原爆を許すまじ『等』となり、現在は『千羽鶴』が防災無線で流れている。
平和教育の日常化。 昨年、城山小学校に被爆講話に行くと先生方は喪服で毎月9日に1951年
からやっている。 だが日の丸はそのままだった。 半旗とは国旗を3分の1に下げる旗の上げ方。
原爆資料館は毎月9日に半旗にしています。 気付いたのが2010年頃。 本庁はしていない、
丸投げしている。 大規模平和式典もいいが、日頃から意識させるのがイイ。 小中の子どもたち
にこそ、あの日をよぎるように必要。 市教委が毎月の半旗について、どういう考えか知りたい。
子どもたちの感想文で、どうして大人は戦争するんですか?と必ずでます。 教師はマトモに答え
てきたか、子どもの疑問に大人はキチンと答えないといけない。 戦争を10種類くらい辞典で調
べると、ある辞典は、戦い・いくさ・武力を使って国と国が戦う事などとあります。 説明は間違
っていないが、戦争の正体の肝心な言葉がナイ。 殺すという言葉、味方も敵も死ぬのが真実だ。
『戦争はなぜ起こるのか』、佐藤忠男さんの児童書はわかりやすくてイイ。 長崎大学の戸田先生も
『人はなぜ戦争をするのか』を書かれていて、学者ですから参考文献がたくさん出ていて参考になる。
平和の反対は暴力だというのが、今の考え方。 直接的な暴力には、戦争・テロ・殺人がある。
構造的暴力には、貧困・飢餓・差別・環境など社会の仕組みに潜む暴力があり、しばしば戦争の誘因
になる。 文化的暴力には、暴力を正当化するカルト宗教的な問題がある。
今年、2022年を表すキーワードは、『戦争』かもしれない。」