連合長崎　副事務局長　『長崎県の最低賃金の現状と課題』
「佐世保地区労の青婦協で事務局長から議長までやり、全国一般長崎や諫早で専従書記長を１０年し
　ました。　その後、連合に来て１０年過ぎ中小の労働運動に携わってきました。　最低賃金審議委員
　をしている立場から話をします。　今年の長崎県最低賃金審議委員会では、８月１０日に２１円引き
　上げの結論がでて、１０月６日から長崎県の最低賃金７１５円の効力が発生する。　法定最低賃金
　制度とは、１９４７年労働基準法が規定され１９５９年に最低賃金法が制定された。　その後、業者間
　協定方式が廃止され、１９６８年に改正し審議会方式になり、１９７１年にはＩＬＯ条約の中で今の時代
　の形に制定された内容になっている。　国内すべての労働者へ適用し、低賃金労働者の救済で歴史
　的には産業別の最低賃金が先だった。　１９７５年すべての県に地域別最低賃金が設定された。　

　日本の最低賃金には法に基づく法定最低賃金と、各企業の労使協定に基づく企業内最低賃金がある。
　法定は『地域別最低賃金』と『特定最低賃金』の２種類ある。　地域別は１９７８年に全国をＡ～Ｄの４ラ
　ンクに分け、ランク別で目安制度が導入された。　Ａの神奈川とＢの埼玉など、開きが大きい所に線を引
　きランク付けされ長崎県はＤランクで、国籍や年齢に雇用形態や期間など係わらず適用となる。
　特定は、産業別となり長崎県は、はん用生産用機械器具製造業と、電子電気機械器具製造業と、船舶
　製造修理業舶用機関製造業の３種類で地域別より少し高い金額となっていて、適用対象労働者も除外
　の例がある。熊本県では百貨店総合スーパーなどの業種が設定され、地域によって違う設定となる。

　地域別最低賃金違反は５０万円以下の罰金となり、労働者ひとりに対してなので何か月も繰り返すと、
　５０万円×人数×月数とかなり大きな罰則。　特定（産業別）は３０万円と他の設定も違っている。
　最賃審議会では労働者側は賃金水準を上げる事が経済発展へ繋がると主張し、経営側は中小の雇用
　に重大な影響を与えると、労働者側と使用者側で意見が対立するので公益委員が目安について見解を
　出し審議して最低賃金の改正する議論になる。　労働者の生活費の切り詰めは消費税増税後から上昇
　しているので、早期に全国平均１０００円の目標達成への道筋を明確にしなければならない。

　長崎の派遣会社から実際に仕事が福岡でしたとなると、福岡の最低賃金の適用になり、長崎から派遣
　し満足していると違反で罰金になる。　逆の場合はどうなるのか、安い地域に来た場合は高い方で決定
　しているので間違えないようにして頂きたい。　コンビニなどで働き、時給の中に通勤費込みだったら最
　低賃金違反をしている。　時間外や休日出勤に深夜勤務や家族手当に通勤手当など一時金（賞与）は、
　最低賃金の対象に入らない。　住宅手当だけは最低賃金の対象となる。　あなたの賃金（給料）が最低
　賃金をクリアしているか、１時間あたりの金額に変換し日給の人は１日の所定労働時間で割って計算。
　月給の人は月給額÷（１日の所定労働時間×年間所定労働日数÷１２）で計算して見みるとわかる。

　歩合給だといろんなケースがあり、日給月給など組み合わせみたいな形もあるが、すべて出来高だと時
　間の算出はしにくい。　タクシーの場合も複雑で、県の最低賃金を下回る事もある。　長崎県は時給７００
　円の所が多いので、１０月６日から７１５円になり一斉に上がるが、会社はまったく触れないので問題にし
　ていきたい。　私たち組織労働者は会社や当局と交渉して決められるが、労働組合がない中小などには
　私たちがキチッと成果を出す重みがあるので、最賃審議会で交渉しています。　７１５円は生活できる金額
　じゃない。　企業内で最低賃金を要求し水準をつくり、労働組合の春闘での取り組みについて最低賃金に
　影響するので、それぞれの組織でもがんばってほしい。」
　