にしおか由香さん講演会
学校事務職員組合フォーラム


日 時 2017年2月4日(土)14:15〜15:30
場 所 九州労働金庫長崎支店・4F会議室
講 演 『1人ひとりが輝いて生きるために』
     自民党改憲草案について、紙芝居など


主 催 長崎県学校事務職員組合
にしおか由香さん (漫画家/長崎大学非常勤講師)
「いろんな学校から集会で人権教育や平和の話をして下さいと頼まれます。 被爆者の証言の紙しば
 いを参加者に読んでもらいます。 読む事で被爆者のメッセージがより伝わると思います。 被爆者
 が伝えたい事は、8月9日の前とその日、後の3つと言われます。 原爆は自然現象でなく意思を持
 って投下された。 その前に戦争があったので落とされた。 戦争は戦闘地域だけでなく一般の人も
 いろんな形で動員されて行きます。 初めから戦争をしてはいけないと被爆者は訴えます。 


 ピースボートでイスラエルの壁がある国に行きました。 住民は石を積み上げて学校や仕事に行き来
 して、壁の向こうは身分証を出す長い行列で壁をよけるとスゴイ遠回り。 通りには銃を持った兵士が
 いて、コーヒーショップの入口には金属探知機がありました。 壁を作ると、そういうピリピリした社会
 になります。 男女に徴兵制があり、帰ってきても空軍は月に1回、男性は年に1ヵ月あるので、心が
 マヒして誰かの人権を侵してもなんとも思わなくなると言っていました。 国連の人権宣言を読むと日
 本国憲法とそっくり。 押し付けだ―と言う人もいますが、世界の人の願いが結集しています。 
 

 憲法9条で戦争したり、自国の利益の為に他国を攻撃する武器や軍隊を持ちませんと言うのは、第
 2次世界大戦の反省から国際公約の形。 近代憲法とは、権力を持った人が弱い人を弾圧した過去
 の歴史があって、権力者に憲法という重しで歯止めをかけようというのが立憲主義で国家権力を縛
 る。 憲法を変えずに私たちの現実を変えていきたい。 戦争は行くものと言われ、やがて来るもの
 になります。 空襲や原爆、歴史を学ぶ意味とは過ちを繰り返さない事になります。 自分が生きて
 いるうちは、来ないと思いがちですが、戦争放棄から戦争蜂起になってきている自民党改憲草案。


 前文は丸ごと差し替えて、『日本国民』が『日本国』に変わり国民不在。 主役が逆になっていて国
 家が国民を縛るモノになっています。 13条では『個人として』の尊重が『人として』となり、個が抜
 けると個性や顔がなくなり、道具としての人になってしまう。 今の国会で家庭教育支援法案が危惧
 されて、国の為に動く子どもを家庭からつくろうという事です。 自治体で条例を決めた所もあります。


 被爆者から聞いた、個が抜けたらどうなるかという話。 1945年4月26日に長崎市飽の浦を米軍
 のB29が空爆し、真っ先に防空壕に入ったのが校長と泰安殿にあった御真影。 次に6年生から順
 に入ると2年と1年生は入れない。 米軍機が飛んでるのに家に帰れと、機銃掃射の中、泣きながら
 走って帰ったというエピソードです。 小さい子は戦争の役に立たないから、そういう社会でした。 
 子どもや高齢者に障害者や弱者を守るのが、改憲草案では大違い。 公の秩序、国家の利益、時の
 政権に反してはならないとあり、個人が尊重されるのと、どちらがいいか真剣に考えないといけない。 


 新しくできた緊急事態条項は、時の総理がなんでもできて内閣が法律もお金も自由に使え、国民は
 事後承認というものです。 政府は武器輸出三原則も変えて自由に海外輸出できるようにしました。 
 今の私たちの暮らしは日本国憲法に守られていて、学問の自由や職業選択の自由や集会の自由が
 あります。 今年は施行されて70年、生まれ育った私たちも日本国憲法でできています。 変えられ
 たら、私たちの人生や生活まで変わってしまう事になります。


 12条は憲法からのお願い文書。 権力者が暴走して憲法を変えられそうになったら、国民で守って
 ねと。 それぞれができる事を地域や職場の中でやってみる事が求められています。 選挙に行って
 も何も変わらないという人もいますけど、じゃあ行かなかったら変わるの?と。 私たちが望まない方
 向に変わってしまいます。 私たちには憲法9条があります。 憲法を変えられ、社会が変えられない
 ように、個人や人権が変えられないようにやっていきたいです。」