長崎県タクシー労働組合 講演会


日 時 2021年9月28日(火)15:30〜16:00

場 所 一般財団法人長崎地区労働福祉会館2F


主 催 全自交・長崎県タクシー労働組合

       
全自交・長崎県タクシー労働組合 副執行委員長
「第65回定期大会の議事は全て終了しました。 この後、全自交から基調講演を行って頂きます。」


全国自動車交通労働組合連合会 中央本部 書記次長  『団結力でコロナ危機に立ち向かう』
「新型コロナウイルスは、公共交通にとって致命的となった。 かつて経験した事がないタクシー需要
 の蒸発。 リーマンショック時の落ち方もひどかったが、回復は早かった。 コロナは終わりが見えな
 い不安。 昨年4月5月で、全国平均37%、長崎県は45%もタクシー需要が落ち込んだ。 観光地
 の落ち込みは特に大きく、大きな繁華街を抱えている所も、落ち込みが大きく厳しい状況にある。
 公共交通を守れと自治体へ要請し、昨年4月に長崎をはじめ、タクシー事業への補助が始まった。


 北海道旭川市では、バス・タクシー運転者1人に2万円が支給された。 ドライバーへ直接支援が必
 要で、経営者を優遇しても労働者までいかない事もある。 危機的だからこそ、地域共闘や地方議
 員とのパイプで、自治体からの協力が必要です。 要求が強い所へ動くので要求しないと取れない。
 倒産との闘いが各地であり、残業代の未払いや、団交拒否の不当労働行為で、労働審判や裁判
 闘争が行われている。 和解して会社も払うとなったが、支払う前に会社を破産させて全員解雇し、
 立入禁止で車両にも触るなと、組合潰しの会社破産。 労働委員会は、会社が破産すると審議打ち


 切りとなるがあきらめない事。 逃げ得を許すなと、青森や岩手など全国12社では労働組合が新会
 社を設立し、会社を買い上げて自主経営を開始した。 民事再生では経営者が残り続けるので、労
 働組合は会社を破産させる事ができる。 金融機関より、労働者の方が債権が多く、破産させて残っ
 た会社を買った。 労働債権は国が8割を建て替え払い。 1人百万円の未払い、みんなで会社買い
 上げの資金とした。 組合潰しだと諦めず、労働者の誇りを懸けた闘いだからこそ底力があり、銭金
 を超えた価値で闘い、労働組合の底力を感じた。 強い団結と、揺るがない決意。 どんな困難でも、


 上部団体と仲間を信じて諦めない。 労働組合が経営し会社の維持は大変。 賃金保障には雇用
 調整助成金(コロナ特例措置)を申請した。 国からの補助金で得してる会社もある。 自主経営の
 為1人3万円をボーナスで分配した。 厳しい闘い、労働組合の真髄は団体交渉にある。 談合して
 良い商品は労働力だけ。 それが労働組合。 労働組合法第7条-3、使用者には交渉応諾義務が
 あり、団交を拒めない。 誠実交渉義務もある。 毎日5分10分と経営者は、立ち話で交渉したと言
 っても、先延ばしで協定を結ばない団交は、団体交渉拒否となる。 賃金を下げるなら、誠意を持っ


 て資料を出せとなる。 経理状況を全部公開させ、見て見ないとワカラナイ。 すべての経営責任を
 経営者は認める事。 協定書こそが法律。 先輩たちが勝ち取ってきた協定書。 学習会をやりなが
 ら組合役員へ引き継いでいく事。 コロナ禍で、オンラインでも書面のやり取りはできる。 文書でも
 協定までいける。 悪い経営者には、労働組合は誠意を持って交渉しろと言わないといけない。
 全国的に統一交渉や、集団交渉は減り、個別交渉に移っているが、対角線交渉は上部団体が入る。
 バラバラに交渉をやらない。 会社側は分断し、格差をつけ低い方に合わせてくるが、労働組合は高
 

 い方に合わせる。 労働組合は強く強く求める事が大事。 交渉して合意した労働協約は法律と同じ
 意味を持つ。 大阪では退職金、一時金を組合が廃止し、退職金と賞与を含めた月例賃金だけとした。
 一番法律で強く下げられない、法的に強いという面白い取り組み。 賞与は弱いので、そこまでやる
 と不利益変更はほとんどできない。 会社側は、団交を形骸化させ労働条件の引下げを狙ってくる。
 会社に協力した場合、弱体化するのは労働組合。 協力して組織が消えていく場面を何度も見た。
 労働組合は相当勉強して会社に立ち向かわないと。 労働協約の内容が一方的に破棄通告され、


 自動的に賃下げはナイ。 厳しい時こそ労働組合の出番。 就業規則の変更や、賃金引下げの必要
 性は、6ヵ月以内に会社が不渡りの緊急性があるか。 赤字が2年続きくらいで賃下げとはならない。
 そうしないと、ココもアソコも下げろとなり、合理性がなくなる。 労働者の不利益の程度も月収200
 円下げろと、3万円下げろとは違う。 給与10%以上の減給は違法。 はね除けないといけない。 
 同業他者との比較、県内の労働者の賃金相場。 元から、みんなより低いのに、もっと下げてくれと
 言うのは経営努力が足りない。 県内の相場を簡単に崩してはならない。 


 水準から低いか高いか知っておくのは大事。 春闘相場は労働組合にとって大事である。 どれくら
 いの相場で働いているか。 ひとつの理由で賃下げはできない。 労働組合は総合的に判断し、労
 働条件の不利益変更との闘いをしないといけない。 5つの原則、@就業規則を変更する必要性の
 ありなし、あるならどの程度か。 A労働者に不利益のみを課していないか。 見返り措置はあるか。
 B不利益はどの程度か。 C十分協議したか。 D業界(同業他社)はどうか。 この5つがテーマで、
 これを団体交渉のテーブルに載せきれないのは、労働組合が悪い。 


 なぜ労働組合をつくるのか。 それは団体交渉で合意したものが労働条件となるから。 覚書でも
 交渉議事録でも、労使が署名・捺印した文書であれば労働協約となる。 口頭の合意でも書面で
 取り交わす事。 労働条件の変更は、労使交渉で協約を結ぶ場合と、会社側が就業規則の変更で
 対応する場合もある。 使用者は賃金の支払い義務はあるが、賞与(一時金)や退職金は、労働
 協約がなければ、法律的な支払いの根拠はない。 労基法は最低賃金だけ。 労働組合を作り、
 対等に交渉しないと。 一人でも入れる労働組合。 日本は労組の結成がしやすい。 アメリカだと
 職場で過半数がいる。 すべての職場で組合をつくり、経営側と対等に団交を。 経営者からのお
 恵みより、みんなで要求し闘って勝ち取る方が価値がある。 成果を求め闘おう!」