被爆者連絡協議会(被爆連) 副議長
「核共有という不穏な動き、絶対にダメだとわからせるような根拠を持ちたい。 講師の中村さんには、
 本当にお忙しい中、学習会に来て頂きました。 しっかり聞いて、知識を吸収していきたい。」


原水禁日本国民会議 共同議長 
「台湾有事があった場合、実質的に被害を受けるのは日本だという危機感を持っています。 一昨日、
 自公の両党が知らないうちに勝手に、敵基地攻撃能力を合意しました。 我が国の軍事費を2倍以
 上にして、軍事力を使って世界各地にアメリカの尖兵となることに危機感を感じる。 今後、どう
 影響を与えるか。 反撃能力を明記する事で、相手の領土へ攻撃可能となる。 米国製のトマホー
 クを導入すると、今の倍の防衛費に誰が金を出すのか。 日本の政策を真剣に考えていきたい。」 
中村桂子さん (長崎大学 核兵器廃絶センター 准教授) 『核兵器禁止条約発効後の世界の核兵器の状況』
「私が長崎市に引っ越してきて11年。 私が仕事をしているRECNAは10周年になります。 毎年6月
 にアップデートして、世界の核弾頭のデータを作っています。 核の数は減っているけど、性能がいい物
 にアップグレードしている。 これから10年は上がると推定され今後、増加傾向に転じる可能性がある。
 2035年くらいまで中国の核問題が進み、1500発に増える予測がでています。 


 2022年6月21日〜23日、オーストラリアウィーンで、核兵器禁止条約の第一回締約国会議が
 あり、オンライン傍聴で8月にはNPT(核兵器不拡散条約)再検討会議にニューヨークに行きました。
 ウクライナへの軍事侵攻で、核兵器使用のリスクがかつてなく高まっている。 合意の一歩手前で、
 ロシアが反対し、最終合意文書が作れなかった。 国連の理事国である一国が、核で恫喝を行った。
 日本の世論へ影響を与え、防衛費増額。 力には力、核には核と、一足飛びに危険な状況です。
 冷静に事実関係をたどる姿勢が必要です。 核兵器の問題が自分たちの身に迫ってきている。


 核共有、日本政府としては非核三原則を変えず、公式には否定しています。 政治家が言うだけで
 中国は核共有が大きな懸念であると言ってる。 国際的な対立になり、ややこしくしている。 
 他の国の軍拡を正当化されてしまう。 マイナスなんですね。 議論は大事で意義があると、核の
 傘の国は参加しています。 日本政府が言う橋渡しをするなら、核兵器禁止条約の締約国会議に、
 オブ参加して議論しなかった事に疑問が残る。 核抑止は誤りであるという宣言が出されました。


 小中学校に講師をしに行くんですけど、質問で増えてきたのが、核兵器が使われたら、どうなります
 か?というのが圧倒的に増えました。 今まで核を本当に使うのかリアル感がなかった。 大学生は
 保守化が進み、核がないと安全に守れないという声が増えた。 アメリカのクリントン大学が出した
 データ、PLAN A がYouTubeで見れます。 核を使われたら、どうなるかのシュミレーション。 
 わずか数時間で、9000万人の以上の死傷者。 アメリカとロシアの戦争計画に基づいていて、
 どこを狙うか、起こりうる核戦争。 戦術核を1発ロシアが威嚇射撃の後に、報復攻撃がヨーロッパ
 

 NATO諸国から核共有で反撃する。 応酬から世界を巻き込むので、一旦使うとエスカレートする
 事が想定されていると、シュミレーションでハッキリわかる。 核兵器廃絶を訴える人の事を、お花
 畑と私も言われます。 核抑止論の方がよほど楽観論。 脅威を認識して冷静な行動を取る事を前提
 にしていますが、プーチンが冷静ならウクライナに侵攻していない。 核の使用はマイナスの選択。
 愚かな事はしないと思うのが、楽観論だろうと。 状況が悪くなる、だから外交努力が必要です。
 
 
 日本にいると、向こうの論調が強く困ってしまう。 世界はむしろ、まったく反対で、核抑止論は
 危ういと学んでいる。 核兵器で戦争抑止はできない。 エスカレートして行きつく先は人類滅亡。
 防衛予算の増額、日本の一部の政治家からでる核共有論はトンデモ論。 外交上のメリットはない
 のに、トンデモ論が一定の説得力を持って、私たちを救ってくれるという世論が大きな問題。 
 私自身、気付いたのは、安全保障の考え方。 国の論理でなく、一人ひとりの人間を中心とした考え。
 核を使われたら誰に、という核の議論を大きくする事が、大きな力に繋がっている。 各国の政府が
 

 演説するなか、各国の代表団は何十人といるのに、女性の発言や女性の外交官は少ない。 
 ’80年代は各国別の男女比は1割だった。 今は3割程度で、まだ充分じゃない。 人間を焦点に
 声を上げ、参加できるよう核兵器禁止条約がもたらす力がゆっくりと、地殻変動のように動いている。
 核の意思決定に女性の参加が少ない。 議員も含めて、私のような専門家も含め、女性は少ない。
 核兵器禁止条約が産んだ新たな世界の流れ。 ジェンダーの視点で核問題が書かれています。
 核が使われたら、女性や女児にとりわけ大きな被害を及ぼす。 心理的・社会的・差別が、女性
 

 にはあり、大きな問題となります。 核の非人道性はジェンダーの視点での分析が必要です。
 今回、2022年の合意文書は、ジェンダーの視点で女性の参加が繰り返し何度も登場しています。
 多くの国がロシアを批判しておりました。 その中で西側が、責任ある核保有国と、無責任な核保有
 国という批判をして、よろしくないなと思っていたら、非難する国がたくさんあった。 本当にロシ
 アが悪いだけでなく、問題の根っこは、核に依存することです。 核抑止論は、核に依存すると壊滅
 的な結果を世界にもたらすので、論理的に破綻している。 残念ながら中々、報道されていない。 


 原子力潜水艦は、軍の目的な物なので、IAEA(国際原子力機関)の査察から外れている。 
 自分たちだけ、NPTの抜け穴で通している。 大国は自分たちの都合で解釈して無理やり通す。 
 抜け穴をつくるのは良くない。 日本は諸手を上げて賛成なのは論外。 77年前と違い、核兵器
 は多種多様で、核弾頭の威力も広島・長崎の何倍〜何百倍もあれば、もっと小型もあります。 
 小型で使える核という言葉。 小型って言うと、教室の半分くらいを爆発させるイメージ。 
 まったくそうではナイ。 小型でも広島の半分くらいの威力はあるので、惑わされないように。
 

 不安な時代になると、乱暴な議論に多くの人が救いを求めてしまう。 くさびを打っていかないとい
 けない。 核は大国の論理の象徴。 弱い者へしわ寄せが来る、これをひっくり返えそうとしている
 のが核兵器禁止条約。 世界中が立ち上がっているのに、日本がソッポ向いているのが、いかに
 オカシイか分かると思います。 核の傘の国も姿勢が問われ、核兵器を巡る価値観のせめぎあい。
 どんな未来を望んでいるのか、私たちに突きつけられている。」
 
平 和 ・核 問 題 学 習 会


日 時 2022年12月5日(月)18:00〜19:45
場 所 長崎県勤労福祉会館・4F第2・3中会議室


主 催 原水禁長崎県民会議/長崎県平和運動センター被爆連