2・11靖国と侵略を考える市民のつどい


日 時 2021年2月11日(木)14:30〜16:30
場 所 長崎県勤労福祉会館・4F第2・3中会議室


主 催 長崎県靖国法案阻止共闘会議 (ヤスクニ共闘) 
加 盟  長崎県教職員組合・長崎県高等学校教職員組合・自治労
        長崎大学教職員組合・長崎県平和運動センター・憲法会議
        社会民主党・日本共産党・靖国問題キリスト連絡会議

長崎県靖国法案阻止共闘会議 事務局長
「コロナ禍で参加者数が少ない予想でしたが多数お集まり、ありがとうございます。 講師には長崎に
 来て頂きたかったが、このご時世では感染防止に配慮しながら、オンラインとなりました。」


長崎県教職員組合 書記長
「会場を360度映せるカメラで、声がする方向が映るようになっています。 過去から日の丸・君が代
 論争がありました。 今日は関連した話が聞けそうです。 日本の祝日は天皇の関係の日もある。
 日曜が祝日だと、月曜は振替えで休みとなる。 授業で月曜日に家庭科や図工の時間を入れると、
 時間割りが組めなくなり、ハッピーマンデーとは、そうでもない。 さっそく講演に入っていきたい。」
石川さん(聖学院大学 政治経済学部教授)  『象徴天皇制』―『今』と『これから』
「日本国憲法で天皇に直接関わる条文は、前文に1条〜8条と、88条には皇室に関する規定がある。
 日本国は象徴天皇制で、国民主権と規定され、天皇は政治に関われないとある。 明治憲法では、
 天皇は象徴であり、主権者であった、国が権力を握っていた。 戦後に象徴だけが残った。
 象徴とはなにか、目に見えないモノを表す。 鳩は鳥だが平和の象徴、富士山は日本を連想すると
 いうようなモノ。 今の憲法は1947年5月3日に施行され、大日本帝国憲法は失効した。


 憲法は国家権力を縛るモノで、国民の自由を守るルールだが、自民党の改憲草案は相当に問題。
 政局で2015年に安保法制を強行採決し、共謀罪も入れられた。 欧米メディアでは、鳩派の天皇
 VSタカ派の安倍政権で、日本の平和主義の憲法を変えようとした事を、天皇はよく思っていないと
 報道されていた。 実際に今の上皇と天皇は、安倍の方針に賛成ではなかったと言われている。
 2016年8月にNHKのスクープで、昭仁天皇の意向を伝え、退位を示された。 昭和天皇と違い、
 自然災害などで現地に赴く事が多かった。 アジアの戦地、サイパン島へ行き、先の戦争の慰霊の
 

 旅。 皇太子時代も含め、沖縄へもかなり訪れている。 平成の30年間、かなり国事行為以外にも
 公的行為が多かった。 昭仁上皇は、世界平和を望まれ、人々の傍らに立ち話を聞き、想いに寄り
 添い、平和憲法を支持していた。 今の徳仁天皇が即位したのが、2019年5月1日から。 即位し
 た言葉でも引き継いでいる。 国政に関わるので、天皇・皇族は法的に参政権がない。 職業や居
 住の自由、宗教の自由などが制約され、人権が制約されている。 皇室は憲法の飛び地という説。
 基本的人権の枠外と言えば終わりだが、最初から及ばないのは問題。 皇族じたいが特別の地位。


 そうは言っても、初めから人権がないのは問題。 天皇は特殊な存在なので、一般国民からすれば
 狭められるが、一般国民としての権利がないわけではない。 天皇は憲法で規定され、人間で世襲
 制でありますが、憲法では個人1人ひとりが全て個人として尊重される。 1人の人間としてプライ
 ベートな行為はある。 国事行為に入っていない、私的行為にも入っていないグレーゾーンがあり、
 公的行為の位置づけで、国体や植樹祭など、様々なセレモニーが多くなってきている。 天皇は国
 事行為のみ行うと規定されているが、憲法に書いていないモノを増やしていいのかと批判がある。
 

 眞子様の結婚が注目されているが、天皇と皇族の男性は皇室会議をえないといけないが、女性に
 はないわけで、法的には自分の意思で結婚できる。 秋篠宮様は、結婚について婚姻は両者の合
 意のみに基づくと話されたと言われる。 自民党の改憲草案は、戦前の家制度で家長の父親が決
 める。 前文は今の憲法と違い原形はまったくない。 今の憲法は『日本国民が』となっているが、
 主語が『日本国は』になっていて分かりやすい。 伝統と国家を継承し、天皇が元首となっている。 
 2003年フランスでは刑法に入れられ、自国の国旗への損壊罪や侮辱罪がある。 国や公共機関、
 

 イベントの国旗を公然と侮辱する行為は、7500ユーロ/約100万円の罰金刑となる。 日本の
 日の丸損壊罪の改正案は、表現の自由への制約へなりかねないと、2012年廃案になっている。
 フランスは革命で王朝を倒し、共和国をつくったので、国歌国旗への尊重がある。 フランス革命が
 侮辱される事になるという考え方。 日本はそういう歴史はない。 国旗を破く行為が、政権に対し
 て反対の意思を上げる事もあるとなると、難しい。 国旗損壊罪は、日本にはそもそも必要ない。
 表現の自由を侵害する可能性もあり、様々な見解がある。 表現の自由は見えるが、思想信条は
 

 中身だから見えない。 2011年に都立高校教員の、日の丸・君が代裁判は、思想信条を侵すもの
 ではないとなった。 裁判所としても強制は認めているが、職場命令は合理性があるとなったが、
 拒否した先生の個人の問題になる。 公立学校教員だからこそ、拒否するというモノもある。
 最近の大学生は生まれが2000年前後で、昭和は知らない、平成の最後しか知らない。 新しい問
 題としてどう考えるか。 日本国憲法の根っこは個人の尊重、1人ひとりの幸福追求権がある。 
 象徴天皇をどう考えていくか。 戦後を引きずってる問題もある。」
 



長崎県高等学校教職員組合本部 書記長
「これからの天皇制のありかたについて示して話して頂いた。 天皇制はワカラナイ事だらけ、離婚は
 できるのか、海外へ移住できるのか、まだたくさんある。 天皇を辞めたらどんな問題になるのか。
 今日の講演会はこれからも、考えていく機会にしていくべきだと思う。」