講演会「元内閣法制局長官が語る安保法制の違憲性」   


日 時 2018年4月14日(土)14:00〜16:00
場 所 長崎県歴史文化博物館ホール
入場料 1000円、大学生以下500円


主 催 安保法制違憲国賠訴訟事件長崎弁護団
     安保法制違憲国賠訴訟を支える長崎の会
吉田さん (弁護士/安保法制違憲国賠訴訟事件長崎弁護団)
「2015年9月19日に強行採決され、翌年3月25日に施行されました。 2016年6月8日に被爆者
 128名を原告で提訴し、長崎地裁で審議が続いています。 全国で24の裁判。 マスコミの取り上
 げも小さくなり、安倍政権は違憲である事を国民が忘れていくと思われていた。 多くの有識者が違
 憲と言う、新安保法制は憲法違反をしていると再確認して、考えて頂ければと思います。」


宮崎さん (元内閣法制局 長官) 『集団的自衛権は現在でも違憲です』

「憲法に違反する法律は無効であるという観点。 役人の常識的考えから言えば、過去のモノだと言う
 人もいますが、国会を通っても終わった話ではない。 司法試験に通り、弁護士をやろうと思ったが、
 法務省から内閣法制局に行き、22年間勤務して長官をさせて頂きました。 法制局は頭でっかちな
 役所で人数は少人数です。 仕事は内閣から出す法律の最終審査。 法律の解釈、憲法に合致する
 か、どの省の管轄か権威を持って意見を言う。 各省の局と違い、法律について権威を持っています。


 見解を聞かれた時に、政治家は細かい事まで言えないので、国会に呼ばれ長官が答えるとなります。
 憲法問題について、各省が言っても構わないが、最終的に法制局となり直ちに答えを出す事になる。
 法律に20年関与してきました、PKO法は合憲だと思っていますが、集団的自衛権は違憲ですという
 立場。 9条のもとでは無理で、憲法改正をしてくださいと安倍さんに申し上げました。 私見になりま
 すが、集団的自衛権はそんなにイイものじゃないと考える。 賛成派は自衛権じゃないかと言うが、
 自国を守る自衛権とは大きく違う。 友好国がやられた時に、出て行って武力攻撃して構わない見解。


 日本が攻撃するのは、9条には無いと1972年の政府見解からずっと言っている。 内閣法制局だ
 けでなく、安倍さんのおじいさん岸首相も集団的自衛権とは武力行使の問題なので、武力行使して
 海外へ助けに行くのは無理と言っている。 その後の各総理や政府の答弁も、ずっと同じ立場で責
 任を持って答えてきた。 憲法は国の根本で、ここから先はできませんと国会で言ってきた確立した
 憲法解釈。 黒を白と言うものだし、さすがに受け入れられないと、参考人招致で言いました。  


 どこかの国から武力攻撃された時は合憲だと言えるが、集団的自衛権は違うんですよ、他国防衛で
 すから。 武力行使を日本がするという事は大きな違い、集団的自衛権を既にやっているという人も
 いますが、武力行使するかは別次元の話ですよ。 武力を使うのは国家の意思として組織的に人を
 殺し、物を壊す事です。 海外にいる軍隊が攻められた時、国が攻められた事になる。 アメリカは
 世界中に部隊を出しているので、本国がちょっかい出された事になり、手伝えとなる。 


 総理を始め大臣は、アメリカが違法な攻撃をした場合、日本は手伝わないと言ったが、先制攻撃した
 場合手伝わないとは言わなかった。 人道的介入と言う国際的グレーゾーンが、シリアでもあった。
 先制攻撃でオレは正しかった、相手はオカシイと対立している時、非常に懸念がある。 
 集団的自衛権は武力介入するから違反なんですよ。 個別的自衛権は最少なら持てるが、集団的
 自衛権は他国なんで無理ですと言ってきました。 軍備も戦力でしょという事になる。


 まっイイかという人もいますが、マトモに考えると受け入れられない。 集団的自衛権は日本を守る
 ものではないので。 アメリカがオマエの所も出てきて闘ってくれと言われると検証できない、言わ
 れた通り闘うしかない。 密接な関係にある他国の部隊が、本当に攻撃されたのか調べようがない。 
 結局、義務になり途中で引く事もできない、逃げる理由がなくなっちゃう。 今までの政府見解をひ
 っくり返すのは無理だと言ってきた。 9条を変えても変わらないなら、9条改憲をやる必要はない。
 平和憲法をやめたいのであれば、根拠を示せばいい。 憲法は法律の王。 行政・司法・国会も、
 法律違反はダメだが、政治家は憲法9条をおかざりだと思っている。 


 批判するのは簡単だけど、テロ特措法は現行憲法での擦り合わせで、なんとかギリギリでやってき
 た。 政府は国を取り巻く環境の変化を言うが、北の核開発は進んでいるが、そんなに変わってい
 るかと思っている。 米ソ対立の頃はもっと深刻だった。 中国なども社会主義や共産主義を輸出し
 て、政権をひっくり返すとはしていない。 イデオロギーで二つに分かれているんでなく、今は自分の
 国の利害。 個別自衛権で対応できる。 現行憲法がある限り、集団的自衛権は違憲だし、声を上
 げていく事が阻止になる。 あきらめないでいきましょう。」
    
安保法制違憲国賠訴訟を支える長崎の会 副会長
「安保法制は違憲である。 違憲訴訟に関心を持って頂き、裁判所前に集まるように盛り上げたい。 
 自民党の改憲推進本部が9条をまとめ、年明けにも国民投票という行程だったが、森友・加計学園
 問題で大炎上し、自衛隊の日報問題と、スケジュールどおりにいかない。 改憲の動きを止め、退
 陣の世論を作っていきたい。 防衛費は6年連続上がり、ミサイルも予算化された。 離島防衛の為
 と言うが、なし崩しの専守防衛。 水陸機動団にミサイル部隊の自衛隊の配備、戦争準備が進んで
 いる。 元伊藤忠商事・社長の言葉、戦争は国民を犠牲にする、結局みんなが損をする、特に弱い
 立場の人ほど犠牲になる。 日本は二度と戦争をしてはいけない、敗者の歴史から日本人は現代史
 を学ぶべきである。」