貸し会議室
財団法人の事業
労 働 問 題 研 修 会


日 時 2015年10月6日(火)18:00〜19:30
場 所 長崎地区労働福祉会館・2F大会議室


主 催 一般財団法人 長崎地区労働福祉会館
中川弁護士 (諫早総合法律事務所) 『労働法制改悪と労働者の権利について』
「派遣法が改悪され通ってしまった。 企業は3年ごとに派遣労働者を交代させれば、いつまでも受け
 入れができる。 また3年経過しても部署を変えれば受け入れ続ける事を可能にした。 ずっと派遣
 の危険性があり、派遣永久化だと言われる。 派遣はどんどん規制緩和されて行き、26業務以外も
 派遣OKになり、派遣の割合が増えていった。 今回、派遣法改正が急がれた理由は、今年の10月
 1日から派遣元が違法派遣を受け入れた場合、直接雇用と見なすから。 偽装派遣は請負と言いなが
 ら実際には指揮命令され、雇われているように働く場合は派遣法違反。 こういう場合、元請と下請け
 労働者が直接と見なされるのを恐れて、適用前に派遣法改正を通した。
 

 今回の労働者派遣法の改正は期間制限が無くなったに等しい。 今までは専門性の高い業務だとい
 つまでも派遣労働できたが、有期雇用だと上限3年になった。 3年の意味、期間制限がややこしい。
 労働組合に意見を聞けば延ばすこともできるが、意見を聞くだけで同意ではない。 労組がなあなあ
 で意見を述べないなら、ずっと派遣を受け入れることができるし、意見を言うなら受け入れできない。
 最大3年が無期限になるのが問題と言われている。 雇用の安定措置が直接雇用でされればいいが
 されないと3年で首になってしまう。 本来なら雇用は派遣先が直接雇用するのが一番安定する。 


 3年経つと居れなくなるので、免れるため2年とか脱法措置はいけないとなっている。 専門的派遣
 労働者も3年になってしまい、雇止めされてしまうんではないかとなった。 派遣は臨時的や一時的
 なもので常用雇用の代わりや、正社員の代わりにするのはいけない原則がある。 均等待遇はこれ
 までも書いてあったが加えて、派遣会社は本人に待遇の説明をする必要がある。 同じ派遣労働者
 の間でも差別があってはいけないと書かれています。 
 

 労働者側が反対し付帯決議がついた。 骨抜きの法律と言われるが、結構いいことが書いてある。 
 派遣労働者の均等待遇実現を3年以内に法制化するとうたっています。 まさに、国に均等待遇の
 法律を作れと。 正規と非正規の格差、賃金や待遇が全然違う。 裁判でおかしいと言っても契約
 に基づいていると言われ、法律的な根拠がなく難しかったが労働者契約法で差別を禁止するとなっ
 たから均等にせんといかんよと強い規定がないと裁判は勝てない。 全ての非正規労働者に対して
 求められている。 この法律の付帯決議とは、労働者のガンバリによってはそういった方向に進むか
 もしれない。 同一労働、同一賃金は非正規問題に踏み出す機会になるかもしれない。 


 なんのために派遣はあるのか、どう考えても法律の理念が矛盾している。 派遣労働は一時的で雇
 用は安定しない。 これまで労働組合は何も言ってこない実態もある。 3年過ぎて直接雇用になれ
 ば派遣労働者保護になる。 この規定をどのくらい活用できるかは、労働運動しだいとなる。 
 使い道もある法律なので考えていきたい。 同一労働、同一賃金の法律が完成するかもしれない。 
 日本の労働で一番悩ましい非正規の問題。 都合のいい労働者として使用しているが、社会的にいか
 に是正していくか考えないといけない。 非正規労働者の待遇改善を全体でどう考えていくか。 
 正社員が原則、日本でも本来、非正規が例外であって直接雇用で雇うべきと考えていくべき。」